英検(実用英語技能検定)は日本英語検定協会が実施する検定試験。
一般的に企業が評価する英語力の水準は英検2級程度から、と言われていますが、「英語を使える」というところに達するには、「英検準1級」レベルまでは欲しいのが実情のようです。
この記事では、英検準1級とはどのくらいのレベルなの?合格できる英語力に達するためにはどうすればいいの?といった疑問に答えながら、英検準1級について詳しく解説していきます。
英検準1級のレベル・難易度
どのくらいのレベル?
英検を運営している「公益財団法人 日本英語検定協会」が定める目安では、英検準1級は「大学中級程度」と定めています。
英語のスキルを測る他のテストを受けたことがある方は、およそ英検準1級に相当するスコアを参考するのも良いでしょう。
ケンブリッジ英語検定 | 約150~180程度 |
---|---|
GTEC(ベネッセ) | 約1,000~1,350程度 |
IELTS | 約4.0~6.5程度 |
TOEFL IBT | 約50~90程度 |
国際的に権威のある英語資格の試験と比べても、なかなかのハイレベルであることが分かります。もしこれらのスコアでピンと来ない方は、下記のような具体的なスキルを想定してみましょう。
- 海外旅行で困らない
- 万が一のトラブルなどにも対応できる
- 電話で用件を伝え、コミュニケーションが取れる
- 自身の専門分野について、ネイティブと議論ができる
- ディベートや複数人での会話においても、論点を的確に捉えることができる
- 長文で書かれた資料もスラスラ理解できる
- 洋書や映画も感情移入できる
一般的には、英語上級者としてスタートに立った、というくらいのポジションだと認識すると分かりやすいと思います。
出題内容も社会一般から芸術や文化、歴史、科学、ネイチャーやテクノロジー、政治経済に至るまで非常に広範囲が取り扱われ、これらのトピックについて「普通に」話せることをが求められます。
合格点・合格率は?
英検準1級の合格ラインは一次試験で1792点、二次試験で512点が目安とされています。
試験形式 | 試験内容 | 設問数 | CSEスコア | 合格ライン |
---|---|---|---|---|
一次試験 | リーディング | 41問 | 750 | 1792 |
ライティング | 1問 | 750 | ||
リスニング | 29問 | 750 | ||
二次試験 | スピーキング | 5問 | 750 | 512 |
全体合計 | 76問 | 3,000 | 2,304 |
合格率は全体で約16%。単純計算で6人に1人しか合格できないという数字なので、難易度は非常に高いと言えるでしょう。
英検準1級合格のポイントとオススメ教材
合格を目指すためには一体どの程度習得すればよいのでしょうか。
まず、英検準1級を目指すために有効な対策や学習法をご紹介します。
まずはとにかく語彙力をつける
まず何を差し置いても語彙力をつけることが大事です。
英検で取り扱われるトピックは幅広いので、文法が分かっているのに合格しない人は、この語彙力が不足している場合があります。
英検準1級に必要な語数は約7,500~9,000語と言われ、これは難関大学受験よりもハイレベルと言うことができます。
センター試験 | 約4,000~5,000語 |
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英検2級 | 約5,000語 |
難関大学入試 | 約6,000語 |
英検準1級 | 約7,500~9,000語 |
英検1級 | 訳12,000~14,000語 |
英検準1級の語彙について詳しく知りたい方は、合格に必要な語彙の習得方法や単語力チェックサイトなどについてまとめた「英検準1級の必須単語数は8000語!単語力チェックと暗記法を紹介」も併せてご確認ください。
おすすめ単語学習教材
効率よく英単語を勉強したい方には、下記のような参考書もおすすめ。スキマ時間を有効活用して、ぜひ単語力を効率よくアップさせましょう。
【音声アプリ対応】英検準1級 でる順パス単 (旺文社英検書)
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単語学習の勉強方法
覚えるだけの単語学習と言っても、闇雲に勉強をするのはNG。語彙力アップに効果的な方法を身に付け、なるべく短期間で覚えましょう。
反復学習 | 一度覚えればOKではなく、単語は繰り返すことで初めて定着します |
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イメージで覚える | 覚えづらい単語は何か映像などとイメージづけて覚えるのも効果的です |
音と一緒に覚える | 何度も口に出し、音として耳からも記憶すると定着しやすくなります |
寝る前に学習する | 単語などの単純記憶は寝ている間に定着すると言われています |
同義語を意識して覚える | 単語を個々に覚えるより、単語同士をリンクすることで定着度もグンと上がります |
長文読解力をつける
英検準1級の合格の鍵を握るのが、ずばりリーディング。
一次試験におけるリーディングの配点率は約半分なので、早いスピードで英文の意味を理解できることが重要となってきます。
準1級の特徴として、長文読解の難易度が顕著に上がることも挙げられます。
長文の単語数が増えるだけでなく、ジャンルの幅も広くなり、多少専門的な内容になることも珍しくありません。
芸術やテクノロジー、社会問題などがテーマとして取り扱われますので、日頃から時事や社会に関する英文に触れ、語彙力を高めておきましょう!
おすすめ長文読解学習教材
英検準1級の過去問を徹底分析して作成された練習問題だけでなく、オリジナルの模擬テストも2回分収録されています。
問題も徐々にレベルアップしくように構成されているので、最後の問題を解くころには、あなたの長文読解力も目に見えて伸びていることでしょう。
英検分野別ターゲット 英検準1級リーディング問題 改訂版 (旺文社英検書)
「まだまだ長文読解には自信がないので、簡単なものから少しずつ挑戦したい」という方におすすめです。
前半では易しめかつ短めの文章が出題され、後半に進めば進むほど難易度は高く、文章も長くなります。準1級受験にあたり覚えておきたい頻出単語リストも付いているので、語彙力アップにも一役買ってくれる、とても心強い教材ですね!
英検準1級の問題構成を押さえよう
英検準1級の試験は、筆記の一次試験と、面接の二次試験の2つのパートに分かれています。
一次試験
筆記の一次試験は、リーディング、ライティング、リスニングの三部で構成されています。
リーディング | 短文の語句空所補充 | 文脈に適した語句を補充する | 25問 | CSEスコア:750 |
---|---|---|---|---|
長文の語句空所補充 | 文脈に適した語句を補充する | 6問 | ||
長文の内容一致問題 | 本文の内容に一致する選択肢を選択する | 10問 | ||
ライティング | 英作文 | 指定されたトピックについて自分の意見を英語で述べる | 1問 | CSEスコア:750 |
リスニング | 会話の内容に一致選択 | 会話の内容に関する問いに答える | 12問 | CSEスコア:750 |
文の内容一致選択 | 音読された内容に関する問いに答える | 12問 | ||
Real-Life形式 | 「Situation」を読んだ後で、音読された内容に関する問いに答える | 5問 |
リーディング
問題は短文・長文の空所補充、内容一致選択で構成されており、英文の意味を理解しなければ解答は難しいでしょう。
また、試験時間内で解かなければならないので分からない言葉を考えている余裕はほとんどありません。
前述のとおり語彙力を高めることに努めることが重要です。
語彙力があれば、内容一致選択問題で分からない単語が出てきた場合でも、問題の英文の前後から内容を推測することもできます。
読解力に自信ない方は、まずは大学受験の内容を解けるレベルまで読解力を高めていきましょう。
ライティング
ライティングは出題されたトピックについてエッセイを書く内容で、下記の観点で採点され、問題の指示通りにしっかり書けているかが見られます。
内容 | 書かれた内容の主旨が指示通りであるか。納得、かつ具体的な内容か。 |
---|---|
構成 | 指定されたエッセイの構成通りに書かれているか。 |
語彙 | おかしな表現やスペルミスなどがないか。語彙が豊富であれば加点の可能性。 |
文法 | 正しい文法で書けているか。 |
「指定された主旨、構成の通りに伝えたいことを正しく伝えらえるか」を採点する問題なので、難しい表現などを使わずにある程度簡単でもいいので、相手に正しく伝えられる表現を使うことが、確かな得点に繋がります。
スペルミスや文法ミスと言った細かなミスも減点対象になりますので、ケアレスミスをしないよう細心の注意を払いましょう。
リスニング
英検準1級のリスニングで読み上げられる英文は速度が速く、内容も難解になるので、英検2級の取得者であっても、ショックを受けてしまうかもしれません。
見たこと、意味が分からない、聞き取ることができない知らない単語をしっかりと固め語彙を高めましょう。
そして聞き取りは、文字を一語一句聞き取りができる力ができるよう英文を聞き取ることに慣れるようにしましょう。
そのためには、まずは聞き取れる音を増やすこと、英語を聞き取ることに慣れるためリスニングを日課にすること、そして聞き取れなかった部分は何度も何度も繰り返し、反復学習をすることがとても大切です。
出題構成としては英検2級と大きく変わりませんが、リスニングの最後に出題される「Real-Life形式」は英検準1級からの出題となります。
先に「Situation」を読んでどんな状況で行われれている会話なのかを理解し、その後の音読に一致する選択肢を選ぶ形式です。
形式に慣れさえすれば特別難しいものではないので、どんどん実践を積んでいきましょう。
二次試験
英検準1級の二次試験では、リスニングやスピーキングをはじめ、英語全体のスキルが問われます。
出題形式としては英検2級に類似していますが、絵について状況を説明する「ナレーション」問題は英検準1級からの出題。
二次試験の合格率は85%程度と高く、一次試験を通過した人ならさほど難しい内容ではありません。
しかし、英語力はあるのに、口ごもったり咄嗟に話すべきことが浮かばなかったりと、自然に会話することができず、減点されてしまうことも。
こちらも独特のスタイルに慣れるため、何度も繰り返し練習しておくことが大切です。
ナレーション | 15点 |
---|---|
質疑応答 | 5点×4(計20点) |
アティチュード | 3点 |
二次試験の配点は上記の通り。特に配点の高いナレーション問題では、4コマの登場人物の表情などを読み取り、時系列に沿って出来事を順序だてて説明していくことがポイントとなります。
英検準1級の二次試験について、もっと具体的に詳しく知りたいという方は、合格のためのヒントをまとめた「英検準一級の面接(二次試験)で失敗しないコツ!一発合格を狙おう」を併せてご確認ください。
英検準1級レベルでできる仕事とは?
英検準1級であれば、どんな仕事が視野に入ってくるのでしょうか。
レベルについての章で触れたように、英検準1級であれば英語力は実践的であると見られますので、英語力の観点で言えば大体の企業の求める水準はクリアできているでしょう。
英語を主軸とする仕事であれば、企業の海外事業部門や外交官、国際部門担当の公認会計士などが現実味を帯びてくるでしょう。
翻訳や通訳、国連職員などを目指すのであれば、ネイティブレベル以上の英語力を求められますので、次のステップとしてぜひ英検1級を目指してみてください。
まとめ
英検準1級は英語上級者の入口ともされており、合格することができれば英語力を誇る事ができる立派な資格であることは間違いありません。また、英語が分かるようになれば、その後の可能性という意味でも世界が大きく広がっていくでしょう。
すでに英検2級を持っているという方や、もっと英語を話せるようになりたいという方は、ぜひこの記事を参考に英検準1級合格を目指してみてはいかがでしょうか?