先生に英文メールを送る時の基本マナー | 丁寧な印象の書き方
大学の先生に英文でメールを書く時、失礼な書き方で印象を悪くしてしまってはいけません。ちゃんとした英文メールの書き方で、丁寧な印象を持ってもらえるよう、書き方のルールを押さえておきましょう。
日本語で「先生」と言うと、教育現場で教壇に立つ「先生」から、年配の方に対する「先生」、まで幅広い職業や人を指しますが、英語にも同様に場面や相手に応じて一定のマナーが存在します。
敬称は名前に関する大切な部分。
敬称を一つ間違えてしまうだけで、思わぬ形で相手に失礼を与えてしまうかもしれません。
特に初対面の方や目上の方に失礼なメールを送ってしまうと、その後の人間関係に支障をきたす可能性も出てしまうので、相手に好印象を持ってもらえるよう、事前にマナーをしっかりと押さえておきましょう!
「先生」に付ける敬称
「先生」は英語「teacher」と訳しますが、それは名称であって敬称ではないため、宛名などでは使用しません。
メールや手紙などでは、送る相手の職業やポジションに応じて適した敬称を使う必要があります。
それでは実際に、「先生」と呼ばれるような職業についている方に、どんな敬称を用いればいいのか。パターン別に解説していきましょう。
学校の先生
学校の先生の呼称として「Teacher」という単語を使うことはまずありません。
そのまま「Mr.」や「Mrs.」「Ms.」などを用いて呼ぶのが一般的で、名前だけで呼んでも良いとする先生もたくさんいます。
初めは「Mr.」や「Mrs.」「Ms.」などをつけて呼べば間違いはないでしょう。
大学教授
一般的に大学教授に対しては「Professor~」という敬称が用いられます。
簡略化した「Prof.~」という敬称も可能ですが、文頭などでは略さず「Professor~」と書くのが無難です。
博士・医者
医者や、大学の博士などに対しては「Doctor~」や「Dr.~」という敬称が用いられます。
博士号を取得している教授に対して「Professor~」という敬称を用いると、相手に失礼だと思われても仕方ありませんので、可能であれば事前に確認しておくと良いでしょう。
上院議員
こちらは主に米国で使われる表現ですが、相手が上院議員の場合は「Senator~」という敬称を用います。
代議士(下院議員)
こちらも同様に米国で使われる表現です。「Representative~」という敬称を用いてください。
敬称をつけるルール
英語で敬称をつける際は、ラストネーム(ファミリーネーム)に付けるのが基本です。
英語の名前では一般的に後ろの名前がラストネーム(ファミリーネーム)となりますので、そこを抜粋して敬称を付ければ間違えることも減るでしょう。
【例 John Smith (ジョン・スミス)】
Mr. Smith:ラストネーム(ファミリーネーム)のみの場合
(Mr.) John Smith:フルネームの場合
敬称はラストネームにつけるもので、ファーストネームにはつけません。
【正しい例】
Mr. Smith(敬称+ラストネーム)
【間違った例】
Mr. John(敬称+ファーストネーム)
もしどちらがファーストネームでどちらがラストネーム(ファミリーネーム)なのか分からない場合は、フルネームで書くようにすれば失礼にあたることはありません。
また、フルネームに対して敬称を用いるのは非常にフォーマルな印象を与えますので、特別な場合を除いてはラストネームのみで書きます。
もしフルネームを用いる場合は敬称を省略しても失礼にはあたりませんので、そのままフルネームのみで宛名を書くと良いでしょう。
Mr./Ms.の使い方
原則として医者や教授などの職業の方には、肩書に応じた敬称をつけるようにしましょう。
相手の職業を知りながらその敬称を使わないのは、相当なマナー違反と受け取られかねませんので注意しましょう。
そのような特定の敬称を持つ場合を除き、目上の人や初めての人に対してはMr./Ms.をつけて呼ぶのが一般的です。
ただし、もしも「Dr.」や「Prof.」など肩書に応じた敬称をつける必要があると分かっている場合は、Mr./Ms.を使うと失礼になりかねないので、必ず適切な敬称を用いるようにしましょう。
女性の敬称は3つ
男性には「Mr.」という敬称を用いればまず問題はありませんが、女性に対しては婚姻状態に応じて適切な敬称を使い分ける必要があります。
【ポイント】
- 既婚の女性:Mrs.
- 未婚の女性:Miss
- どちらでも使える:Ms.
「Ms.」は新しくできた敬称で、既婚・未婚問わず使用することができます。相手の婚姻状況が分からない場合は、「Ms.」を使うと良いでしょう。
発音は「ミズ」のような発音で、「ミス」と発音すると未婚女性を指すMissに聞こえてしまいますので注意してください。
相手の性別がまだ分からない時
直接相手に会ったことがない場合や、男女に共通して付けられる名前の場合など、相手の性別が分からない状況も出てくるかもしれません。その場合には「, Esq」という敬称を用いることができます。
【ポイント】
- Jackie, Esq
気を付けなくてはならないのが、他の敬称と異なり、「, Esq」は名前の後ろにもってくるという点。直前のカンマも忘れずに付けるようにしましょう。
メールの書き方
メール作成においてはPWPSストラテジーを意識することがポイントです。P(Plan・プランを立てる)、W(Write・書く)、P(Proofread・確認する)、S(Send・送信する)の手順にのっとり、効率よく的確な文章を書くことを意識してください。
件名の書き方
メールの件名は、一目で目的や内容がわかるように書くことがポイントです。そのため、長い文章ではなく、必要最低限のフレーズで読み手に内容を伝えることを意識しましょう。
内容が緊急の場合には「Urgent」と書くのも選択肢の一つです。また、件名の最初の文字は原則大文字で書くことも忘れてはいけません。
質問をしたいとき
【例文】
Question about yesterday’s class.
昨日の授業についての質問
欠席の連絡をしたいとき
【例文】
Missing the December 2 class.
12月2日の授業を欠席する件
お礼のメールをするとき
【例文】
Thank you for your reply.
お返事ありがとうございます
それ以外(誰からのメールか伝えたいとき)
【例文】
This is Taro Tanaka from your ○○ class.
〇〇クラスの田中太郎です
宛名の書き方
英語でメールを書く際は、宛名に「Dear」を用いるのが最も一般的。「親愛なる」という意味からすると親しい間柄向けのような感覚もしますが、英語では初対面の人からフォーマルなビジネスメールにまで幅広く用いられます。個人に向けてか団体に向けてかなど、状況に応じて細かなルールが存在しますので、まずは基本的なルールを押さえておきましょう。
特定の人に向けた場合
宛先が特定の個人に限定される場合は、「Dear」の後に「Mr.」や「Dr.」など敬称を続けます。
【ポイント】
- 一般的な呼称:Dear Mr. Smith,
- フルネームの場合:Dear Jackie Smith,
- 医者に対する呼称:Dear Dr. Smith:
- 教授に対する呼称:Dear Professor Smith:
名前の直後には、忘れずに「,」か「:」を付け加えるようにしましょう。
「,」の方がより一般的で、「:」はなんとなくフォーマルで堅苦しい印象を与えます。
特定の人以外に向けた場合
部署や会社などに向けてDearを用いる際には、Dearの直後にそのまま名称を持ってくることが可能です。
【ポイント】
- 顧客一般:Dear Customers,
- 役職名:Dear General Manager,
- 部署名:Dear Sales Department,
部署などもよく分からない場合にはTo whom it may concern「関係者各位」という表現も可能ですが、この場合は受け取る側も誰に向けてのメッセージなのか困惑してしまうこともあり、相手からの返事に時間がかかってしまうことも。
確実に返事を受け取るためにも、できるだけ詳細に宛先を指定するのがおすすめです。
相手の名前が分からない場合
相手の性別は分かっているのに名前が分からないという場合には「Sir(s)」や「Madam(s)」といった表現を用いることも可能です。
【ポイント】
- 男性に対して:Dear Sir,
- 女性に対して:Dear Madam,
- 男女共通:Dear Sir or Madam,
- 全体に対して:Dear Sirs and Madams,
- 全体に対して:Dear All,
もし性別が分からないという場合でも、「Dear Sir or Madam」とすることで幅広く対応することができます。
こうした表現はどちらかと言うとイギリス英語で、アメリカ英語では「Gentleman」や「Ladies and Gentlemen」が用いられますが、いずれにしてもできるだけ詳細に宛先を指定するのがベターです。
また、「Dear All」というもっとシンプルな表現も可能。かなりラフなイメージを抱くかもしれませんが、実際のビジネスシーンでも多用される表現ですので、覚えやすければこちらを使っても良いでしょう。同様にDear everyoneという表現も用いられます。
本文の書き方
冒頭に、相手に誰からのメールなのかわかるよう、簡単な自己紹介を入れます。例えば大学の教授に対してメールを書く際には、氏名、学部、学年、履修項目などを情報として盛り込むのがおすすめです。
【例文】
My name is Taro Yamada, and I am enrolled in your “Basic Economy” class on Thursday, in the first period.
私の名前は山田太郎です。木曜1限の「経済基礎」の講義を受講しています。
【例文】
I am Hanako Yamada, in the third grade of the Faculty of Commerce. I took your Macro Economy class last year.
私は商学部3年の山田花子です。昨年、「マクロ経済」の講義を受講しました。
先に要点から書こう
続いて、メールを書いた趣旨を伝えます。先に要点から書き、次に詳細を書くのが一般的です。その際、命令のニュアンスがある断定口調は避け、丁寧な表現でお願いすることを意識しましょう。
【例文】
Would it be possible to meet you on Thursday?
木曜日にお会いすることはできますか?
【例文】
It would be really appreciated if you let me know when you would be available.
いつご都合がつくかお知らせいただけると幸いです。
丁寧な表現についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
結びの書き方
日本語では手紙を書く際に「敬具」と結びの言葉を添えることがありますが、英語のメールでも同様の表現がたくさんあります。
日常的なメールでもこれがないと相手に与える印象も悪くなりかねませんので、慣れるまでは忘れないように意識することが大切です。
下記の例を参考に、まずは自分なりの結びの言葉をフォーマット化しましょう!
Sincerelyを用いる
【ポイント】
- Sincerely,
- Sincerely yours,
- Yours sincerely,
ビジネス英語において最も一般的な結びの一言がSincerely。「真心を込めて」というニュアンスを持ち、相手に誠実な印象を与えることができます。初対面の人に対しては、まずはこちらを使うのがおすすめです。
Regardsを用いる
【ポイント】
- Regards,
- Best Regards,
- Warm(est) Regards,
- Kind(est) Regards,
Sincerelyに比べ、もう少しカジュアルな印象を与えるのがRegards。「敬意をこめて」というニュアンスで、すでに会ったことのある人や、長年の付き合いがある相手などに対して用いられます。
trulyを用いる
【ポイント】
- Very truly yours,
- Yours very truly,
かなりフォーマルな印象を与えますが、truly「真に」という単語を用いることも可能です。弁護士などの間で用いられる表現なので、場合によっては堅苦しい印象を与えかねませんが、クレームの際の表現などにも用いられることがあります。
カジュアルな表現
上記以外にも、下記のような多様な表現を用いることも可能です。
【ポイント】
- All the best
- Best wishes
- Thank you for your consideration
- Thank you in advance
- Many thanks
決まりきったフォーマット以外にも、単純に「Thank you」という言葉を用いるのも一般的。中でもThank you in advanceは「前もってお礼申し上げます」というニュアンスで、ビジネス英語では頻出の表現です。
何度も顔を合わせ、親密な関係性を築くことができたら、「Thanks」や「Many thanks」といったカジュアルな表現を用いることも可能です。ある程度慣れてきたら、ぜひ相手に応じて様々なバリエーションを使いこなしてみてくださいね!
敬称一覧
最後に、敬称の一覧を改めて確認していきましょう。
省略形 | 非省略形 | 用途 |
---|---|---|
Dr. | Docotor | 医者や博士に対して |
Prof. | Professor | 教授に対して |
Mr. | mister | 男性に対して |
Mrs. | mistress | 既婚女性に対して |
Miss | – | 未婚女性に対して ※省略されていないのでピリオドをつけない | Ms. | – | 女性全般に対して ※MES.とMissを合成してできた敬称で、省略されてはいませんがピリオドはつけます。 |
Esq. | Esquire | 性別が不明の相手に対して |
Sir | – | 男性に対して ※省略されていないのでピリオドはつけない |
Madam | – | 女性に対して ※省略されていないのでピリオドはつけない |
上記のまとめを改めて確認し、まずは自分なりの表現を定番化してしまうのがおすすめです。ある程度慣れてきて、相手とも良好な関係が築けてきたら、他のパターンに変えてバリエーションを増やしていくと良いでしょう。くれぐれも相手に失礼のないよう敬称を使い分け、ご自身のビジネス英語をスキルアップさせていってくださいね!