就転職の水準となるTOEICスコアは何点? | 新卒・中途別に解説
転職を考える際に、密接な関係にあるのがTOEICのスコア。データによると、2019年度新入社員内定者のスコア平均は547点で、世間一般では履歴書に書いてもいいスコアは600点以上と言われています。 ただし、これらはあくまで新入社員の立場であって、これからキャリアアップを目指して転職を考えている方は、ちょっと事情が異なってきます。 「これから転職活動を考えているけれど、TOEICのスコアは正直・・・」という方はぜひ参考にしてみてくださいね。
就転職を考える際に、密接な関係にあるのがTOEICのスコア。
就職したい企業や職種を目指す時にどのくらいスコアを取れていれば合格水準なのか、気になりますよね。
また、一般的に企業がどのくらいの英語力を持っている人材であればクリアしているのかも気になるところです。
今回はTOEICスコアと就転職における関係性について解説したいと思います。
履歴書に記載できるスコア水準は600点
TOEIC600点は「履歴書に記載できる(英語力がアピールができる)スコア水準」として知られています。
しかし、コミュニケーション力という観点では世間的イメージとのギャップがあるというのが実情のようです。
TOEIC600点の社会的評価と実情
まずTOEIC開発元のETSが検証に基づいて公表している「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」を起点に「TOEIC600点」の評価と実情を見てみましょう。
以下の相関表ではTOEICのスコアをA~Eの5段階に分け、段階ごとに以下のように評価しています。
レベル | TOEICスコア | 評価 |
---|---|---|
B | 730~855点 | 通常会話は完全に理解し、深い話題にもさほど支障なく対応できる。どんな状況でも適切にコミュニケーションできる素地を備えている。正確さ・流暢さには差が見られる。 |
C | 470~725点 | 通常の会話では要点を聞き取れ、文法・表現力に不足があるにしても自分の意思を伝えることはできる。複雑な場面では対応力に差が見られる。 |
※ETS「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」を元に作成
この表から判断すると、「TOEIC600点」の人は「通常会話はだいたい聞き取れ、幅広い場面で意思を伝えることができる」ということになるでしょう。
社会的評価は悪くない
TOEICを実施・運営しているIIBCが2019年に行ったアンケート調査(※1)では、企業・団体が新卒新入社員・職員に期待するTOEICスコアの平均は545点、中途採用では560点でした。これと比較すると、英語力に関する限り「TOEIC600点」は多くの企業で余裕を持って「合格」できるレベルだと言えます。
[st-cmemo fontawesome=”fa-external-link” iconcolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#fafafa” color=”#757575″ iconsize=”100″]※1)IIBC 英語活用実態調査【企業・団体】【ビジネスパーソン】2019[/st-cmemo]
世間的な評価で言っても、TOEICで600点を取れれば「英語ができる人」に仲間入りすることになります。ETSの相関表は広く流布しており、これが世間のイメージに影響していると思われます。
TOEIC600点の実情は厳しい
しかし結論から言えば「TOEIC600点ではほぼ話せない」というのが実情で、上記評価や世間的イメージとの大きなギャップがあると言わざるを得ません。
人によって多少のやりとりはできるかもしれませんが、英語圏で生活をしていた経験などがない限りは、日常会話ですらままならないでしょう。
相関表によると「TOEIC600点」は海外で通用しそうに思えますが、実態としてはまず通用しないレベルです。
就活での有効性はあるのか?
「就活」という点においてフォーカスをしてみましょう。
企業の多くは「TOEICスコアと実力は対応しない」ことを承知しています。
それでも「足切り」に利用したり、「努力できるかどうか」を測るための参考にしたりしており、就活で「TOEIC600点」が有効に働く場面は多いと言えます。
では、以下項目で就活におけるTOEICスコアの水準について解説していきます。
大学生の就活の場合
[st-cmemo fontawesome=”fa-external-link” iconcolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#fafafa” color=”#757575″ iconsize=”100″]※2)IIBC 上場企業における英語実態調査2013年[/st-cmemo]
IIBCが2013年に上場企業を対象にして行った調査(※2)によると、採用時にTOEICスコアを「参考にしている」「することがある」「参考にしてないが将来はそうしたい」という企業はト-タルで約83%もあり、新入社員に期待するTOEICスコアの平均は565点。
「TOEIC600点」はこのスコアを上回っており、TOEICスコアを参考にする企業への就職では有効に働きます。
少なくとも、説明会やエントリーシート段階での「足切り」を避けやすくはなるでしょう。
ただし、国際部門においては業務上英語を使うことがほとんであるため、期待スコアは高くなり、平均750点と出ています。
中途採用の場合
上記同資料によると、上場企業が中途採用者に期待するスコアの平均は710点と出ています。
先ほどご紹介した新入社員に期待する平均スコアが565点でしたので、それよりもおよそ150点も高くなっています。
新入社員と違って、中途採用では会社は即戦力を期待しているので、当然求められる水準も高くなってきます。
そうした意味でも、英語力は今後ますます重要度の高いスキルとなることは間違いないでしょう。
上場企業への転職なら必須
キャリアアップを視野に入れた転職であれば、英語はなおのこと重要になってきます。TOEICは可視化された数値なので、採用時のアピールとしても非常に有効です。
上場企業への転職を狙っている場合、企業側は明確な採用基準こそ発表していなくても、約7割の企業がTOEICスコアを参考にしています。
特に競争率の高い企業では、足切りとしてTOEICスコアを採用している企業も珍しくなく、現実としては英語のスキルによってキャリアアップへの夢が潰えてしまうということも考えられる状況なのです。
企業が求めるスキル
グローバル化の波を受け、近年の企業では全社員に一定の英語力を求める傾向が高まっています。
今までは特定の部署さえ英語を使えれば良いと考える企業が少なくありませんでしたが、現在は部署問わず、全社員に英語力が求められる時代になったと言えるかもしれません。
実際、企業や団体が不足していると考えるスキルは「英語」という項目がトップ。
全社員の英語力を総合的に上げるというのは会社にとっても大変な作業なので、英語スキルの高い人材を獲得することが会社にとっても大きなメリットになります。
そのため、今後は採用時にますます高度な英語力が求められると考えて良いでしょう。
水準スコアはあくまでも参考値
実務で通用する英語レベルを具体的にすると、
- 英語の会議で議論できるレベル
- 通訳無しで一人で海外出張
といった、比較的高水準なものだと考えられています。
そのため、各企業が回答している期待スコアはあくまでも採用時の水準として見ているのであって、実務レベルに達しているかが重要となります。
ここで、TOEICスコアと実際英語を使った業務内容の相関関係を考えてみましょう。
700~795点 | 日常業務の進行 |
---|---|
800~895点 | ビジネス上で本格的に英語を活用 |
企業に「欲しい」と思わせるような人材像になるならば、スコアは800点以上は目指したいところです。
さらに、もし国際部門や外資系を目指しているなら、さらに高いスコアを目指す必要がありそうですね。
昇進や昇格
採用だけでなく、もちろん入社後も英語の重要性には変わりはなく、昇進や昇格においてTOEICスコアを参考にしている場合も多く見られます。
実態調査報告書によると、多くの企業でグローバル化に対応するため、TOEIC L&Rの結果を利用しており、全社員に期待スコア(平均)として「600点」を求めています。
すなわち、昇進や昇格に求められるレベルは少なくとも600点以上のスコアということになりますが、特に、外資系企業や海外事業部では、外国人としっかりしたコミュニケ-ションが取れるように、さらに高いスコアである700点以上が要求されるでしょう。
「TOEIC600点」はそれなりに就転職に有効
いかがでしたでしょうか。実用レベルではまだまだだとは言え、就転職においてフォーカスすると、TOEIC600点はある程度の水準をクリアしていると評価されるラインです。
コミュニケーション力に直接結びつかないにしても、英語力の底上げ、就転職ツールとしての有効性は非常に高く、これから英語を使った仕事をしたい、キャリアアップをしたいと考える人ならば、目指す意義のある目標でしょう。
また、英語力を磨くことで仕事の幅は格段に広がり、入社後の待遇面にも直結してくるかもしれません。
今後のキャリアアップの手段としては他の資格などよりも有効性が明確でいろんな業種において重宝されるので、これから転職などのキャリアアップを検討している方は、ぜひTOEIC対策に取り組んでみてはいかがでしょうか?