【学び直し英文法】前置詞とは

2022年3月18日


前置詞とは、文の中にある他の要素との関係を表す「設置詞」という品詞の一つで、名詞の意味を補います。英語の前置詞は日本語の助詞と異なり、必ず名詞の前に置くことから、「前置詞」と言います。

日本語では「が」「を」「に」などの助詞に近い役割を持っています。

英語の前置詞は種類が多く、「使い分けができない!」と挫折してしまう人が多い、中学英語の難関と言える文法です。

前置詞の役割

では、前置詞の役割を明確に理解するために、一緒に次の例文を見てみましょう。

例文

We have to get off the bus at the next stop.
私たちは次のバス停でバスを降りなければなりません。

例文では、「at」は名詞「the bus」と「the next stop」を繋げており、「the next stop」の前に置かれ、「バス停で」という意味を示しています。

前置詞はイメージで捉えてみる

種類の多い前置詞は、日本語の意味に照らし合わせて覚えるよりも、その前置詞が持つ「イメージ」を理解することが大事です。

前置詞はそのあとに置く名詞との関係性を説明する言葉なので、その名詞との関係性のイメージを描くことで、文章の意味をとらえやすくなります

前置詞の種類

前置詞には「at」や「in」などに代表される「単純前置詞」、「without」や「into」などの「複合前置詞」、「because of」や「in front of」のように二語以上で構成される「群前置詞」があります。

前置詞の数はかなり多いので一度にすべて覚えるのは大変なので、まずは基本となる「単純前置詞」のイメージを掴めるようにしましょう。

混同しがちな「in」、「on」、「at」

場所

前置詞「at」は場所や時間などのある一点を指すときに使います。
コアイメージは特定の「点」です。

例文

I was at Karen's house yesterday.
私は昨日カレンの家にいました。

The meeting will start at 1:00 pm.
会議の開始は午後1時です。

前置詞「on」は何かに接地している状態を指します。

テーブルの上や壁に何かがかかっている状態の場合は「on」を使います。

また、時間を指す場合に「at」は特定の時刻などを指す際に使いますが、「on」は「曜日」のような幅の広い時間帯を指す場合に使います。

例文

A glass of water is on the table.
水の入ったコップがテーブルの上にある。

His lecture is on Wednesday.
彼の講演会は水曜日にある。

前置詞「in」はある範囲や空間の中にいる状態を指す場合に使われます。
コアイメージは「内部」です。

物理的な空間だけでなく時間に対しても用途は拡張され、月や年など一定期間の内部を指す場合にも使用します。

例文

The store is located in a shopping mall.
そのお店はショッピングモールの中にあります。

Repairs to the building will be carried out in 2022.
ビルの補修工事は2022年に実施されます。

時間

時間や期間を指す場合、「at」「on」「in」のどれを使うのが適切か迷ってしまう場合は、以下のように覚えておくと良いでしょう。

at特定の時間を指す場合
on曜日や日付など一定の期間を指す場合
in年や月などある程度長めの期間を指す場合

方向や目的「to」「for」「from」

to

前置詞「to」は目的地や時間における終点を指す時、状態や結果、対比などに使われますが、コアイメージは「矢印(方向)と到達点」です。

例文

She went to Japan last year.
彼女は昨年日本へ行った。

The color of the lights changed to red.
ライトの色が赤に変わった。

for

前置詞「for」は「行き先」や「目標」などを示す場合に使用されます。
前置詞のコアイメージは「方向」「方面」です。

「物理的な方面」に限らず、「あなたのために」の「~のために」など相手を「目標」とした表現もよくされます。

例文

The train on track 2 is bound for Shibuya.
2番線の電車は渋谷行きです。

This book is a gift for you.
この本はあなたへのプレゼントです。

from

前置詞「from」は「起点」を指す場合に使われ、物理的、時間的な文脈に対しても使用されます。

例文

It takes about two hours to get to Asakusa from here.
浅草に行くにははここから2時間ほどかかります。

This exhibition will be held from tomorrow until next Monday.
この展示会は明日から来週の月曜まで開催されます。

他の対象との関係性「of」「with」「by」「as」

of

前置詞「of」は「あるグループや集合の一部に属している」ことを指す前置詞です。
ホールケーキの中の一切れ、日本の中の東京など一部分を指す際に使われます。

例文

He is a member of that soccer team.
彼はそのサッカーチームの一員です。

with

前置詞「with」は「~と一緒に」という意味で使われ、よく目にする前置詞です。
非常に多様な用途を持つ前置詞で、「同伴・所有」「手段」「関係性」「対比」「付帯」の意味で使用されます。

前置詞のコアイメージは「一緒」です。

例文

I went out with my friends.
私は友達と出かけた。

I cut the wood with a saw.
私はのこぎりで木材を切った。

Be patient with this work.
この仕事は我慢しなさい。

I had a fight with him.
私は彼と喧嘩をした。

by

前置詞「by」は「~のそばに」や「~を使って」という意味で使われます。
「近接」というコアイメージがあり、対象との間に差があるイメージを持つと良いでしょう。

対象の隣にある、時間であれば期限、手段を表す場合にも使われます。

例文

My house is by the forest.
私の家は森のそばです。

I have to finish this job by tomorrow.
明日までにこの仕事を終わらせなければいけません。

I came here by cab.
ここにはタクシーで来ました。

as

「as」は前置詞の他、接続詞としても使われることが多いですが、前置詞「as」のイメージは「イコール」です。
asで繋ぐ二つのものを「同一のものとして見なす」、あるいは「その状況である」ことを表現するために使います。

例文

He understood this accident as intentional.
彼はこのアクシデントを故意のものとして理解した。

John played soccer as usual.
ジョンはいつも通りサッカーをプレイした。

それ以外の頻出する前置詞

off

前置詞「off」は「離れる」「休止」「割引」などを表す際に使われますが、そのコアイメージは「元々くっついていたものが離れる」です。

例文

The airplane took off on time.
飛行機は定時に離陸した。

Can you turn off the lights?
電気を消してくれる?

before

前置詞「before」は「順序が前」というイメージを持っています。
時間や場所に対して「~よりも前」という意味で使用されます。

例文

She returned home before 5:00.
彼女は5時前に帰宅した。

I must finish this work before next week's meeting.
私は来週の会議前にこの仕事を終わらせなければならない。

You must arrive at the station before the train.
あなたは電車よりも先に駅に到着する必要があります。


場所を示す際に「~の前」と表現する場合、「before」と「in front of」で迷う時があります。
どちらも似たような意味ですが、それぞれのイメージは若干異なります。

「before」を場所に対して使用する場合、その建物よりも先のイメージで使用されます。

対して「in front of」の場合はその建物の正面のイメージで使用されます。

after

前置詞「after」は「ある基準の後からついていく」イメージを持っています。

「ついていく」「後」「まねる」という意味で使われる前置詞です。

例文

My son followed after me.
息子は私の後に続いてきた。

Go for a walk after lunch.
昼食の後に散歩に行きましょう。

She takes after her mother.
彼女は母親似なんです。

about

前置詞「about」のイメージは「何かの周辺をざっくりと囲んでいる」です。

「about」には「~について」や「約・およそ」「周囲」の意味があります。
ある人物や物事を中心として、その周辺のことを述べるときに使用します。

例文

What do you think about his opinion?
彼の意見についてどう思いますか?

I think the chance of precipitation next week is about 30%.
来週の降水確率は30%くらいだと思います。

This all happened about him.
これはすべて、彼のために起きたことなのです。

near

前置詞「near」は「対象とそう遠くない近い位置にある」ですが、その距離に厳密な決まりはなく、その人の感覚的に近くにあるというイメージを持ちます。

そのため少し距離があっても、場合によっては何キロか離れている場合でも使用する場合があります。

例文

My house is near that park.
その公園の近くに僕の家があります。

beside

前置詞「beside」も「near」と同じように「近く」のイメージを持ちますが、こちらは「近接」のイメージを持ちます。

「near」との距離の違いでは圧倒的に「beside」が近く、対象の横にいるようなイメージです。
また、前置詞「by」と同じくらいの距離感です。

例文

He was standing beside that tree.
彼はあの木の側に立っていました。

until

前置詞「untill」は「ある時点まで状態が続いている」イメージを持ちます。
「~まで」という意味で、前置詞「by」でも同じような意味をとりますが、以下のような違いを持っています。

「by」:~まで
「untill」:~までずっと

例文

He will be here until 8:00.
彼は8時までずっとここにいます。

He will be here by 8:00.
彼は8時までにここに来ます。

over

前置詞「over」は「対象物を半円形(アーチ)に超える、覆う」イメージを持ちます。
「~の上に」や「覆う」という意味の他、「乗り越える・克服する」や、「あちこち・全体」の意味があります。

例文

The dog jumped over the puddle.
その犬は水たまりを飛び越した。

She got over the problem.
彼女はその問題を乗り越えた。

She travels all over the world.
彼女は世界中を飛び回っている。

through

前置詞「through」は「対象の中を通過する」イメージを持ちます。
「~を通り抜けて」「~を経て、貫いて」「ずっと連続して」という意味を取り、ずっと続いているという共通の意味を持ちます。

例文

If you go through that tunnel, you will be in his hometown.
そのトンネルを通り抜ければ、彼の故郷です。

She grew through the experience.
彼女はその経験を経て成長した。

He slept through the entire class.
彼は授業中ずっと寝ていました。

above

前置詞「above」は「ある位置よりも上位にある」というイメージを持ちます。
「~よりも上」「~を超える」などの意味があり、「上にある」という意味では「over」や「on」と似ていますが、「over」は覆いかぶさる、「on」は対象物の上に乗っているイメージです。

例文

My father built a shelf above my desk.
父は私の机の上方に棚を作ってくれました。

The number of visitors this week is above average.
今週の来店者数は平均を超えています。

under

前置詞「under」は「対象の下にある」というイメージを持ちます。
「~の下」という意味ですが、この後に説明する「below」も似た意味を持っています。

「under」は対象の真下にある場合や、対象に覆われた下にある場合、「影響下」「支配下」にある場合の時に使われます。

例文

That cat is under the table.
その猫はテーブルの下にいます。

His sister hides under the covers.
彼の妹は布団の中に隠れています。

Fluctuations in that data are under the influence of weather conditions.
そのデータの変動は天候の影響下にあります。

below

前置詞「below」は「above」の対になるもので、「ある位置よりも下位にある」というイメージを持ちます。
「~よりも下」「~を下回る」などの意味がありますが、同じ「下」を意味する前置詞「under」とはイメージが異なります。

「under」は「~より下」という意味ですが、真下やその影響下、支配下にあるという意味を持ちます。
対して「below」は位置に対してのみ使われる前置詞で、配下である意味を持ちません。

例文

I live in the room below my landlord.
私は大家の下の部屋に住んでいます。

His exam scores were below average.
彼の試験の点数は平均以下でした。

against

前置詞「against」の基本的なイメージは「影響を受けている」「ぶつかりあう」です。
そこから「~に逆らう」「~ぶつかる」「~対抗して」という意味をとります。

例文

We are against this decision.
私たちはこの判断に反対です。

She is leaning against the wall.
彼女は壁にもたれかかっている。

They ran the operation against us.
彼らは私たちに対抗して作戦を実行しました。

around

前置詞「around」は「ぐるっと囲んでいる」イメージを持ちます。
「~を囲んで」「~の周りをまわって」などの意味ですが、「囲んでいる」という意味では「about」も同様です。
この両者には「about」は「ぼんやりと囲んでいる」、「around」は「ぐるっと囲んでいる」という意味の違いがあります。

また、aboutは静的、aroundは動的なイメージもあります。

例文

I jog around the park every morning.
私は毎朝公園をぐるっとジョギングしている。

そして「around」にも「およそ」という意味があり、さらに「about」と混同しそうですが、「around」よりも「about」の方が正確な数値に近い意味を持ちます。

between

前置詞「between」は「2つの間に挟まれている」イメージを持ちます。
「2つの~の間」や「協力、共同で」という意味があります。

例文

There is a big tree growing among us.
私たちの間に大きな木が生えています。

Let's share this cake between us.
このケーキを2人でシェアしよう。

among

前置詞「among」も「~の間」という意味がありますが、「大群の中にいる」イメージを持ちます。
2人・2つの間の場合は「between」、それ以上の場合は「among」と理解すると分かりやすいですね。

集合体の中で個々の区別があまりされていないイメージがあります。

例文

Among his classmates he has very good grades.
クラスメートの中では彼はとても成績が良いです。

up

前置詞「up」は「上に伸びる」イメージを持ちます。
「伸びる・増大する」意味の他、「完了=ゴールへと伸びる」、「出現=見えないところから見えるところに上がってくる」という意味も持っています。

例文

I grew up in Japan.
私は日本で育ちました。

I gave that up.
私はそれを諦めました。

The singer showed up at the restaurant.
その歌手はそのレストランに現れました。

down

前置詞「down」のイメージは「up」と逆の「下に下がる」イメージを持ちます。
「下へ下がる・降りる」意味の他、「落ち着く」、「書き留める」という意味もあります。

例文

He hurried down the stairs.
彼は階段を急いで降りた。

She calmed me down.
彼女が私を落ち着かせてくれた。

I wrote down his message in my notes.
彼の伝言をメモに書き留めた。

along

前置詞「along」のイメージは「長いものに沿う」イメージを持ちます。
「~に沿って」「~伝いに」という意味の他、「ずっと一緒に」という意味もあります。

物や目的、方向などに沿っていくイメージをすると良いでしょう。

例文

I drove along the street.
私は街道沿いに車を走らせました。

The hotel is located along the coast.
海岸伝いに行くと、そのホテルはあります。

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  • この記事を書いた人

1億人の英語 編集部

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