英語の受動態の基本用法|能動態を受け身にして表現の幅を広げよう

「受動態」と聞くと、難しい英語の文法を想像し、複雑な表現と感じる人がいるかもしれません。しかし、受動態は、「~する」という能動態を「~される」という受け身の形にするもので、日常会話でよく使用される用法です。用法はシンプルで、一度覚えてしまうと活用しやすいため、ここでしっかりと習得しましょう。
この記事では、受動態の用法に加え、能動態から受動態に言い換えるときのポイントと注意点について解説します。

受動態の用法の基本

初めに受動態の意味、作成する際のルールについてお伝えします。基本的なポイントを押さえておきましょう。

受動態とは

受動態は、行為を受ける側の視点で用いられる表現です。つまり、文中の動詞は「~される」という意味で表されます。例えば、「彼女は子供を起こした」という能動態の表現から、「子供は彼女によって起こされた」という受動態が作られます。

受動態の用法

受動態の基本的な構文は以下のとおりです。下記の構文を用いて、さまざまな受け身の表現を行うことが可能です。

主語+be動詞+動詞の過去分詞+by+行為をする人(物)

実際に上記を用いた例文を見てみましょう。

This report was written by my colleague a week ago.
(この報告書は一週間前に私の同僚によって書かれた)

行為の最後に付け加えられる「by+行為をする人(物)」が省略されることがあります。行為者が自明である場合や、不特定多数を指すときです。具体的には「by them (彼ら彼女らによって)」や、「by us (私たちによって)」「by you (あなたたちによって)」「by people (人々によって)」と書きたい場合は、by以下は省略しても意味は通じます。

English is always spoken in this meeting.(この会議ではいつも英語が話されている)

受動態がよく用いられるとき

受動態が使われるケースは主に二つあります。一つ目は、主語、すなわち動作主が明確でないときや、動作主を強調する必要がないときです。

The meeting of this project will be held in next Monday.
(このプロジェクトの会議は来週月曜日に行われるだろう)

二つ目は、主語が長いときです。英語は日本語とは逆で、主語の次に動詞が続き、結論を文頭に置く言語です。そのため、「~だと言われている」のような、主語が長く、頭でっかちな文になるときは、that以下を指す仮主語「it」を用いて、「It is said that~」と受動態で示す形式が好まれます。

It is said that the sale of that company has rapidly increased recently.
(あの会社の売り上げは最近になって急激に伸びたと言われている)

受動態に言い換えるときの時制・文体別ポイント

受動態の基本用法を押さえたら、さまざまなパターンの例文を基に、受動態に変更できるかトレーニングしてみましょう。現在形や過去形、疑問文などの例文を用いて受動態に言い換える際のポイントをご紹介します。

現在形を受動態で表す

受動態の文章を作る際、先頭に置く主語は能動態の動詞の後に来る目的語を持ってきます。さらに受動態ではbe動詞と語尾に「-ed」を付けた動詞の過去分詞を用います。しかし、中には不規則に変化する動詞も存在します。例えば、「eat(食べる)」は「eaten」に、「cut(切る)」は「cut」、「buy(買う)」は「bought」などです。

Many people send applications for this job.
(多くの人がこの職の申込書を送っている)
Applications for this job is sent by many people.
(多くの人によってこの職の申込書が送られている)

受動態は、現在進行形でも表されます。現在進行形と受動態を併用する際は、「be動詞+being+動詞の過去分詞」という構文を用いましょう。

Our hard work is decreasing our sleeping time.
(私たちの激務が睡眠時間を減らしつつある)
Our sleeping time is being decreased by our hard work.
(私たちの激務によって睡眠時間が減少しつつある)

過去形を受動態で表す

受動態において時制はbe動詞で表します。そのため、過去形の文章を受動態に変更するときはbe動詞を「was/were」にしましょう。

We started this meeting five hours ago.(私たちはこの会議を5時間前に始めた)
This meeting was started five hours ago.(この会議は5時間前に始まった)

A genius solved a lot of problems.(一人の天才が多くの問題を解決した)
A lot of problems were solved by a genius.
(一人の天才によって多くの問題が解決された)

助動詞を含んだ英文を受動態で表す

未来形の「will」など、助動詞を含む英文を受動態に活用するときは、「助動詞+be+動詞の過去分詞形」という構文を用います。語順に注意して、以下の例文を確認しましょう。

She will submit the report by tomorrow.(彼女は明日までに報告書を提出するだろう)
The report will be submitted by her by tomorrow.
(報告書は明日までに彼女によって提出されるだろう)

You must check this estimate in detail.
(あなた方はこの見積書を詳しくチェックしなければならない)
This estimate must be checked in detail.
(この見積書は詳しくチェックされなければならない)

否定文を受動態で表す

受動態の否定文を作る際は、be動詞を「not」で否定します。助動詞を含む受動態のときは、助動詞の後に「not」を挿入します。

He did not write this document.(彼はこの文書を書いてはいなかった)
This document was not written by him. (この文書は彼によって書かれていなかった)

People may not ask such a question.(人々はそのような質問をしないかもしれない)
Such a question may not be asked.(そのような質問はされないかもしれない)

疑問文を受動態で表す

受動態の疑問文は、主語とbe動詞を逆にして表現します。「be動詞+主語+動詞の過去分詞」という語順を押さえておきましょう。

Does he always take his son to the park?(彼はいつも公園に息子を連れてくるのかい?)
Is his son always taken to the park by him?
(彼の息子はいつも彼によって公園に連れてこられるのかい?)

疑問詞が含まれる英文は、文頭に疑問詞を置いた後に「be動詞+主語」を置きます。

What do you call this project in your company?
(あなた方は会社でこのプロジェクトを何と呼んでいるのか?)
What is this project called in your company?
(このプロジェクトはあなた方の会社では何と呼ばれているのか?)

受動態の英文を作る際の注意点

受動態の英文を作成する際に忘れてはいけないポイントをお伝えします。例文はビジネスシーンだけでなく、日常生活の中でも目にすることが多い表現なので、しっかりと覚えておきましょう。

byを用いない動詞に注意する

受動態の英文では、動作主や行為の主体をbyとともに表されることが多くありますが、中には例外もあります。例えば次の英文を見てみましょう。

This train is filled with many office workers.
(この電車は大量のサラリーマンで満たされている(いっぱいだ))

「be filled with」で「~で満たされている」という意味です。上記の英文において満たしているのは「many office workers」なので「by」が使えそうですが、「fill」の場合は「~で」という意味を持つ「with」が使われます。

次に注意したいのが、多様な前置詞を含んだ受動態のパターンです。以下の前置詞は、「範囲」や「理由」など、「主語」以外の意味が表されているので、読解の際は注意が必要です。前置詞の意味に注意しながら、一つひとつ見ていきましょう。

次の例文は、「to」を用いて範囲を表しています。

That president is known to everyone in the world.
(あの社長は世界中のみんなに知られている)

以下は、「for」を用いて理由を示しています。

Mother Teresa is known for helping poor people.
(マザー・テレサは貧しい人々を助けたことで知られている)

職業や地位を表したいときは、「as」を用います。

He is known as a famous Kabuki actor.
(彼は有名な歌舞伎役者として知られている)

自動詞と他動詞を使い分ける

受動態で過去分詞となる動詞は「~させる」という意味を持つ他動詞です。「~させる」という意味合いがなければ、「~される」という受動態は作れないからです。そのため、英作文を作るときは、自動詞と他動詞を意識して作成する必要があります。
例えば、「テロリストによって爆弾が街に落とされた」という受動態は以下のどちらが正しいのでしょうか。

The bomb was fallen in the city by a terrorist.
The bomb was dropped in the city by a terrorist.

この場合、正しいのは二つ目の「drop」を用いた文です。一つ目の「fall」は「落ちる」という意味の自動詞であるため、目的語を持つことができません。一方、「drop」は「~を落とす」という意味の他動詞であり、目的語を備えています。

強調したいポイントを押さえて、受動態を活用しよう

英語の受動態には、同じ意味合いを持つ能動態の文章が存在します。過去形や疑問形など、さまざまな能動態の文章を受動態に変えるトレーニングをすると、習得しやすくなります。どんなときに受動態を使えば良いか迷ったら、どの主語を強調したいか、「~する」と「~される」のどちらを強調したいかを考えてみると良いでしょう。活用シーンや伝えたい意図に合わせて能動態と受動態を使い分けられるようになれれば、英語表現の幅が広がったことを実感できるはずです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ページ上部へ戻る