英語の受動態の基本用法|能動態を受け身にして表現の幅を広げよう

2018年7月1日


「受動態」と聞くと、難しい英語の文法を想像し、複雑な表現と感じる人がいるかもしれません。

しかし、受動態は、「~する」という能動態を「~される」という受け身の形にするもので、日常会話でよく使用される用法です。用法はシンプルで、一度覚えてしまうと活用しやすいため、ここでしっかりと習得しましょう。

この記事では、受動態の用法に加え、能動態から受動態に言い換えるときのポイントと注意点について解説します。

受動態の用法の基本

初めに受動態の意味、作成する際のルールについてお伝えします。基本的なポイントを押さえておきましょう。

受動態とは

受動態は、行為を受ける側の視点で用いられる表現です。つまり、文中の動詞は「~される」という意味で表されます。例えば、「彼女は子供を起こした」という能動態の表現から、「子供は彼女によって起こされた」という受動態が作られます。

能動態

She waked up the child.
彼女は子供を起こした

受動態

The child was waken up by her.
子供は彼女によって起こされた

また、受動態は第3文型(SVO)、第4文型(SVOO)、第5文型SVOC)にのみ用いることができます。つまり、人やモノが2つ以上存在しないと、受動態は成立することはできません。

受動態の用法

受動態の基本的な構文は以下のとおりです。下記の構文を用いて、さまざまな受け身の表現を行うことが可能です。

主語+be動詞+動詞の過去分詞+by+行為をする人(物)

実際に上記を用いた例文を見てみましょう。

受動態

This report was written by my colleague a week ago.
この報告書は一週間前に私の同僚によって書かれた

行為の最後に付け加えられる「by+行為をする人(物)」が省略されることがあります。行為者が自明である場合や、不特定多数を指すときです。具体的には「by them (彼ら彼女らによって)」や、「by us (私たちによって)」「by you (あなたたちによって)」「by people (人々によって)」と書きたい場合は、by以下は省略しても意味は通じます。

受動態

English is always spoken in this meeting.
この会議ではいつも英語が話されている

受動態はどんな時に使われるの?

受動態が使われるケースは主に二つあります。

主語(動作主)が明確でない、強調の必要がない場合

一つ目は、主語、すなわち動作主が明確でないときや、動作主を強調する必要がないときです。

受動態

The meeting of this project will be held in next Monday.
このプロジェクトの会議は来週月曜日に行われるだろう

主語が長い時

二つ目は、主語が長いときです。英語は日本語とは逆で、主語の次に動詞が続き、結論を文頭に置く言語です。

そのため、主語が長く、頭でっかちな文になるときは、that以下を指す仮主語「it」を用いて、「It is said that~」と受動態で示す形式が好まれます。

能動態

They say that she is good at cooking.

受動態

That she is good at cooking is said by them.
→It is said that she is good at cooking

彼女は料理が上手だと言われている

受動態に言い換えるときの時制・文体別ポイント

受動態の基本用法を押さえたら、さまざまなパターンの例文を基に、受動態に変更できるかトレーニングしてみましょう。

現在形や過去形、疑問文などの例文を用いて受動態に言い換える際のポイントをご紹介します。

現在形を受動態で表す

現在の文章を受動態で表す際には、「be動詞?過去分詞」が基本となります。

能動態

Many people send applications for this job.
多くの人がこの職の申込書を送っている

受動態

Applications for this job is sent by many people.
多くの人によってこの職の申込書が送られている

受動態は、現在進行形でも表されます。現在進行形と受動態を併用する際は、「be動詞+being+動詞の過去分詞」という構文を用いましょう。

能動態

Our hard work is decreasing our sleeping time.
私たちの激務が睡眠時間を減らしつつある

受動態

Our sleeping time is being decreased by our hard work.
私たちの激務によって睡眠時間が減少しつつある

過去形を受動態で表す

過去形の文章を受動態に変更するときはbe動詞を「was/were」にしましょう。

能動態

We started this meeting five hours ago.
私たちはこの会議を5時間前に始めた

受動態

This meeting was started five hours ago.
この会議は5時間前に始まった

能動態

A genius solved a lot of problems.
一人の天才が多くの問題を解決した

受動態

A lot of problems were solved by a genius.
一人の天才によって多くの問題が解決された

助動詞を含んだ英文を受動態で表す

未来形の「will」など、助動詞を含む英文を受動態に活用するときは、「助動詞+be+動詞の過去分詞形」という構文を用います。

語順に注意して、以下の例文を確認しましょう。

能動態

She will submit the report by tomorrow.
彼女は明日までに報告書を提出するだろう

受動態

The report will be submitted by her by tomorrow.
報告書は明日までに彼女によって提出されるだろう

能動態

You must check this estimate in detail.
あなた方はこの見積書を詳しくチェックしなければならない

受動態

This estimate must be checked in detail.
この見積書は詳しくチェックされなければならない

否定文を受動態で表す

受動態の否定文を作る際は、be動詞を「not」で否定します。

助動詞を含む受動態のときは、助動詞の後に「not」を挿入します。

能動態

He did not write this document.
彼はこの文書を書いてはいなかった

受動態

This document was not written by him.
この文書は彼によって書かれていなかった

能動態

People may not ask such a question.
人々はそのような質問をしないかもしれない

受動態

Such a question may not be asked.
そのような質問はされないかもしれない

疑問文を受動態で表す

受動態の疑問文は、主語とbe動詞を逆にして表現します。

「be動詞+主語+動詞の過去分詞」という語順を押さえておきましょう。

能動態

Does he always take his son to the park?
彼はいつも公園に息子を連れてくるのかい?

受動態

Is his son always taken to the park by him?
彼の息子はいつも彼によって公園に連れてこられるのかい?

疑問詞が含まれる英文は、文頭に疑問詞を置いた後に「be動詞+主語」を置きます。

能動態

What do you call this project in your company?
あなた方は会社でこのプロジェクトを何と呼んでいるのか?

受動態

What is this project called in your company?
このプロジェクトはあなた方の会社では何と呼ばれているのか?

受動態の英文を作る際の注意点

受動態の英文を作成する際に忘れてはいけないポイントをお伝えします。

例文はビジネスシーンだけでなく、日常生活の中でも目にすることが多い表現なので、しっかりと覚えておきましょう。

現在形と過去分詞が変わらない単語もある

不規則動詞の中には、現在形と過去分詞が同じ活用の単語も存在します。以下は代表的な動詞ですので、覚えておくことをおすすめします。

costお金がかかるquit辞める
cut切るread読む
hit打つset置く
hurt傷つけるshut閉める
letさせるspread広げる
put押すwet濡らす

byを用いない動詞に注意する

受動態の英文では、動作主や行為の主体をbyとともに表されることが多くありますが、中には例外もあります。例えば次の英文を見てみましょう。

受動態

This train is filled with many office workers.
この電車は大量のサラリーマンで満たされている(いっぱいだ)

「be filled with」で「~で満たされている」という意味です。上記の英文において満たしているのは「many office workers」なので「by」が使えそうですが、「fill」の場合は「~で」という意味を持つ「with」が使われます。

次に注意したいのが、多様な前置詞を含んだ受動態のパターンです。

以下の前置詞は、「範囲」や「理由」など、「主語」以外の意味が表されているので、読解の際は注意が必要です。前置詞の意味に注意しながら、一つひとつ見ていきましょう。

「to」を使った例

受動態

That president is known to everyone in the world.
あの社長は世界中のみんなに知られている

「for」を使った例

受動態

Mother Teresa is known for helping poor people.
マザー・テレサは貧しい人々を助けたことで知られている

「as」を使った例

職業や地位を表したいときは、「as」を用います。

受動態

He is known as a famous Kabuki actor.
彼は有名な歌舞伎役者として知られている

自動詞と他動詞を使い分ける

動詞には、目的語が無くても文が成立する「自動詞」と、必ず目的語を伴う「他動詞」の2種類がありますが、受動態で過去分詞となる動詞は他動詞です。

先述の通り、受動態の文章を作るには人やモノが2個以上あることが前提となります。そのため、目的語を伴わない自動詞は受動態の文章にすることはできません。目的語(O)を伴う他動詞においてのみ、目的語(O)を主語に持ってくることで、受動態の文章に書き換えることができます。

正解

The bomb was dropped in the city by a terrorist.

不正解

The bomb was fallen in the city by a terrorist.
爆弾はテロリストにとって街に落とされた

「drop」は「~を落とす」という意味の他動詞なので、目的語のthe bombを文頭に持ってくることで受動態にすることができます。一方、「fall」は「落ちる」という意味の自動詞であるため、目的語は伴わず、受動態の文章にすることはできません。

強調したいポイントを押さえて、受動態を活用しよう

英語の受動態には、同じ意味合いを持つ能動態の文章が存在します。過去形や疑問形など、さまざまな能動態の文章を受動態に変えるトレーニングをすると、習得しやすくなります。どんなときに受動態を使えば良いか迷ったら、どの主語を強調したいか、「~する」と「~される」のどちらを強調したいかを考えてみると良いでしょう。活用シーンや伝えたい意図に合わせて能動態と受動態を使い分けられるようになれれば、英語表現の幅が広がったことを実感できるはずです。

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長坂 ヒロ

▼略歴
WEBライター/翻訳家(英語・ポルトガル語)として活動中。年齢は30代前半。
東京外国語大学外国語学部を卒業後、旅行会社にて海外商品企画や海外添乗業務を担当。学生時代には、大手予備校の英語個別指導講師や答案添削業務を経験。

オーストラリア/ニュージーランドに計1年半在住歴もあり、現在は信州・長野県へ移住。

趣味は海外旅行。渡航経験は約30カ国。年に2~3ヵ月は海外旅行へ。

英語は肩ひじ張って勉強するものではなく、楽しく習得していくもの。英語学習を楽しく継続する方法や、ネイティブが日常的によく使う表現などを発信していきます。

【ブログ】
旅するカモノハシ~「自由ですけどなにか?」~
ぶら~りブラジル

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