この2つの動詞は、英語学習の初期に習う基本的な単語ですが、多くの人がその使い分けに苦手意識を持っています。日本語の感覚で使ってしまうと、ネイティブには「あれ?」と違和感を与えてしまうことも少なくありません。
しかし、安心してください。この2つの使い分けには非常にシンプルで明確なルールが存在します。それは「話者・聞き手との距離感(視点)」です。
この記事では、そんな bring と take の決定的な違いを、誰にでも分かるようにイラスト感覚で解説します。これを読めば、もう二度と迷うことはありません。
結論:違いは「Comeする」か「Goする」か
早速、核心となるルールからお伝えします。bring と take の使い分けは、モノや人の移動する方向で決まります。これは、come (来る) と go (行く) の使い分けと全く同じです。
- bring:話者・聞き手のいる場所へ「持ってくる/連れてくる」 (Come のイメージ)
- take:話者・聞き手のいる場所から離れた場所へ「持っていく/連れていく」 (Go のイメージ)
つまり、
【こちらへ】の bring の使い方 (Comeのイメージ)
bring は、モノや人が話者や聞き手のいる方向へ近づいてくるイメージです。矢印が自分、または会話している相手に向かっている状況で使います。
基本的な動き:何か → 話者/聞き手
この「近づいてくる」感覚がポイントです。
bring を使う具体的なシチュエーション
1. 話し手のいる場所へ「持ってくる」
今自分がいる場所に、誰かに何かを持ってきてもらうよう頼む場面です。
【例文】
Could you bring me that book on the table?
日本語訳:テーブルの上にあるあの本を(私のところに)持ってきてくれますか?【例文】
“I’m thirsty.” “OK, I’ll bring you some water.”
日本語訳:「喉が渇いたな」「わかった、お水を持ってきてあげるよ」
2. 聞き手のいる場所へ「持っていく」
自分が、相手がいる場所(例:相手の家でのパーティー)へ何かを持っていく、と伝える場面です。目的地に聞き手がいるため、聞き手から見れば「こちらへ」の動きになります。
【例文】
I’ll bring a bottle of wine to your party tonight.
日本語訳:今夜の君のパーティーに、ワインを1本持っていくね。【例文】
Don’t forget to bring your homework to school tomorrow.
日本語訳:(先生が 生徒に)明日、学校に宿題を持ってくるのを忘れないように。
人を「連れてくる」場合も同様です。
【例文】
Can I bring my friend to the barbecue?
日本語訳:そのバーベキューに、私の友達を連れていってもいいですか?
【あちらへ】の take の使い方 (Goのイメージ)
take は、モノや人が話者や聞き手のいる場所から離れていくイメージです。矢印が自分や相手から離れた「別の場所」へ向かっている状況で使います。
基本的な動き:話者/聞き手 → 別の場所
この「離れていく」感覚を掴みましょう。
take を使う具体的なシチュエーション
1. 今いる場所から別の場所へ「持っていく」
家から学校へ、会社から取引先へ、など、現在地から別の目的地へ何かを運ぶ場面です。
【例文】
Don’t forget to take your umbrella when you go out.
日本語訳:外出するとき、傘を持っていくのを忘れないでね。【例文】
I need to take these documents to the post office.
日本語訳:私はこれらの書類を郵便局へ持っていかなければならない。
2. 人を「連れていく」
子供を公園に、ペットを病院に、など、誰かを別の場所へ連れていく場合にも take を使います。
【例文】
My father takes me to the station every morning.
日本語訳:父は毎朝、私を駅まで車で送ってくれます(連れていってくれます)。【例文】
She took her dog to the vet.
日本語訳:彼女は犬を動物病院へ連れていった。
3. 食べ物などを「持ち帰る」
レストランで食べ物を注文し、店内で食べずに「持っていく」場合、`for here or to go?`(店内でお召し上がりですか、お持ち帰りですか?)という決まり文句で `to go` が使われます。これも `take` の「離れていく」イメージから来ています。
【例文】
Can I get a cheeseburger and fries, to take out? (or to go?)
日本語訳:チーズバーガーとポテトを、持ち帰りでお願いします。
【シーン別】bring と take の違いを会話で比較!
一番分かりやすいのが、同じシチュエーションで視点を変えることです。Aさん(パーティー主催者)とBさん(参加者)の会話を見てみましょう。
状況:Aさんの家でパーティーが開かれる。AさんがBさんに電話をしている。
Aさん(主催者)の視点:
Bさんに、自分の家(こちら)に何かを持ってきてほしいので、bring を使います。
【Aさんのセリフ】
Hi B! Could you bring some drinks to my party?
日本語訳:やあB!パーティーに飲み物を持ってきてくれる?
Bさん(参加者)の視点:
電話を切った後、Bさんが家族に話します。Bさんにとってパーティー会場は、今いる場所から離れた場所(あちら)なので、take を使います。
【Bさんのセリフ】
A invited me to his party. I have to take some drinks.
日本語訳:Aがパーティーに招待してくれたんだ。飲み物を持っていかないと。
このように、全く同じ「飲み物を持っていく」という行為でも、誰がどこから話しているかによって動詞が変わるのです。
まとめ
今回は、基本動詞でありながら多くの人が混同する bring と take の違いについて解説しました。難しく考える必要はなく、動きの方向が「こちらへ」なのか「あちらへ」なのか、ただそれだけです。
会話をするときに、話している相手と自分の位置関係、そしてモノや人がどこへ動くのかを意識するだけで、ネイティブのような自然な使い分けが身につきます。
今日のポイント
- ✅ 動きの方向が全て!話者や聞き手のいる「こちら側へ」なら bring。
- ✅ 話者や聞き手から離れた「あちら側へ」なら take。
- ✅ Come (来る) ⇔ bring (持ってくる)
- ✅ Go (行く) ⇔ take (持っていく)
- ✅ 誰の視点で話しているかを常に意識するのが、使い分けをマスターする最大のコツ。