なぜ単語は知っているのに「聞き取れない」のか?ネイティブ特有の「音の繋がり」攻略法
「単語は知っているし、スクリプトを読めば理解できるのに、音で聞くと全く分からない……」。英語学習者なら誰もが一度はぶつかる壁、それがリスニングです。ネイティブの英語が「速すぎる」「謎の呪文に聞こえる」と感じるのは、実はあなたの耳の能力の問題ではなく、英語特有の音声変化の知識が不足していることが原因かもしれません。
今回は、リスニング 上達のための最重要課題である「音の繋がり」に焦点を当てます。英語 リンキングなどの代表的なルールを理解し、どのようにリスニング コツを掴んでいくべきか、具体的なトレーニング法とともに解説します。

1. なぜ知っている単語が「謎の呪文」に聞こえるのか?
私たちが単語帳で覚える音は、いわば「単独での発音(孤立発音)」です。しかし、実際の会話では単語と単語が隣り合うことで、元の音が変化したり、消えたりします。この「文字と音のギャップ」こそが、聞き取りを困難にしている正体です。
脳が「この単語はこう発音されるはずだ」と期待している音と、実際に聞こえてくる音がズレているため、脳はそれを「知らない音」として処理してしまいます。リスニング力を鍛えるには、まずこの音声変化のルールをインストールし、脳内の音声データベースを書き換える必要があります。
2. 攻略すべき3つの主要な「音声変化」ルール
英語の音声変化は複雑に見えますが、まずは代表的な3つのパターンを抑えるだけで、聞き取れる範囲が劇的に広がります。
① 音が繋がる「リンキング(連結)」
前の単語が子音で終わり、次の単語が母音で始まるとき、それらが1つの単語のように繋がって発音される現象です。
【例文】
“Check it out.”
チェック・イット・アウトではなく「チェケラ」のように聞こえます。
【例文】
“Hold on a minute.”
ホールド・オン・アではなく「ホールドナミニッ」のように繋がります。
② 音が消える・弱くなる「リダクション(脱落・弱化)」
文中で重要度の低い単語(代名詞、前置詞、助動詞など)が、非常に弱く、あるいは短く発音される現象です。特に語尾の t, d, g などの破裂音は、口の形は作るものの音が出されない「飲み込まれた音」になることがよくあります。
【例文】
“I want to go there.”
ウォント・トゥではなく「ワナ(wanna)」と発音されます。
【例文】
“Good luck!”
グッド・ラックではなく「グッラック」のようにdの音が消えます。
③ Tの音が「ラ行」に化ける「フラッピング」
母音に挟まれた T の音が、日本語のラ行やDに近い音に変化する現象です。アメリカ英語で特によく見られます。
【例文】
“Water”
ウォーターではなく「ウォーラー」や「ワーダー」のように聞こえます。
【例文】
“Shut up!”
シャット・アップではなく「シャラップ」と繋がります。
| 音声変化の名称 | 主なルール | 聞こえ方のイメージ |
|---|---|---|
| リンキング | 子音 + 母音が繋がる | 単語の境界線が消える |
| リダクション | 弱い音を省エネで発音する | 音が消える、短くなる |
| フラッピング | 母音に挟まれた T が変化する | Tがラ行やDの音になる |
3. 脳に「正しい音」を上書きする3ステップ・トレーニング
ルールを知識として知っているだけでは、瞬時に聞き取ることはできません。リスニング 上達を実感するためには、自分の耳と口を連動させるトレーニングが不可欠です。
ステップ1:スクリプトを見ながら音の変化を確認する
まずは、音声付きの教材を用意し、スクリプトを読みながら「どこでリンキングが起きているか」「どの音が消えているか」をチェックします。自分で記号を書き込んで、音の地図を作るのがリスニング コツです。
ステップ2:オーバーラッピング(被せ読み)
音声と同時に、全く同じ速度・リズムで発音する練習です。ネイティブの「省エネ発音」をそのままコピーすることで、自分の発音が矯正されるとともに、脳がその音を認識できるようになります。
ステップ3:シャドーイング
スクリプトを見ずに、聞こえてくる音を0.5秒遅れで追いかけて発音します。非常に負荷の高い練習ですが、これができるようになると、英語のスピードに対する「耐性」がつき、リスニング力は飛躍的に高まります。
【例文】
“Can you turn it off?”
キャン・ユー・ターン・イット・オフではなく「キャニュ・ターニッォフ?」のリズムを意識します。
4. リスニングは「耳」ではなく「知識」で解く
リスニングは、単なる聴力検査ではありません。文脈、文法、そして今回解説した音声変化のルールを統合して、脳が音を再現する高度な作業です。もし聞き取れないフレーズがあったら、それを「音が繋がった状態」で何度も口に出してみてください。
自分が発音できる音は、必ず聞き取れます。英語 リンキングをマスターすることは、ネイティブの思考回路(いかに楽をして音を繋げるか)を理解することでもあります。
5. まとめ:音の繋がりを制する者がリスニングを制す
英語のリスニングが上達しないのは、あなたが「真面目に1語ずつ聞きすぎている」からかもしれません。ネイティブのように「省エネ」で音を繋げる感覚を身につければ、今までノイズのように聞こえていた英語が、意味を持った言葉としてクリアに聞こえ始めるはずです。
■今回の重要ポイント要約
- リスニングの本質: 耳の良さではなく、音声変化の「知識」と「再現力」で決まる。
- リンキング(連結): 子音と母音を繋げて1語のように発音する。
- リダクション(脱落): 弱く発音される音や、消える音を無視する勇気を持つ。
- フラッピング: Tの音がラ行に化ける現象に慣れる。
- 訓練法: 「自分で発音できる音は聞き取れる」という法則に基づき、シャドーイングを繰り返す。
今日からリスニングの練習をするときは、単語を追うのではなく「音の塊」を探してみてください。その一歩が、あなたのリスニング力を根本から変える大きな転換点になるでしょう。






