スペルも発音も似ていて、辞書を引けばどちらも「特に」と出てくるため、同じように使えると思われがちです。しかし、この2つには明確なニュアンスの違いがあり、ネイティブスピーカーは自然に使い分けています。
この違いを知らないまま使ってしまうと、少し不自然に聞こえたり、意図が正確に伝わらなかったりすることも。この記事では、そんな痒い所に手が届く、especially と specially の違いを分かりやすく解説します。
結論:「とりわけ」か「わざわざ」か
まずは、2つの単語が持つ中核的なイメージを掴んでしまいましょう。これが使い分けの全ての鍵となります。
- especially:「とりわけ」「中でも特に」 → あるグループや範囲の中から、一つを際立たせるイメージ。
- specially:「特別に」「わざわざ」 → ある特定の目的のために何かをするイメージ。
especially は
【スポットライト】の especially の使い方
especially は、「たくさんの同類の中から、ある一つを名指しして『これが一番だ』『これは格別だ』」と強調したいときに使います。「among other things(数ある中で)」というニュアンスが含まれています。
一般的な事柄について述べた後で、「その中でも特に…」と具体例を挙げる文脈で非常によく使われます。
especially を使う具体的なシチュエーション
【例文】
I like animals, especially dogs.
日本語訳:私は動物が好きです。特に犬が好きです。(訳注:たくさんの動物というグループの中で、「犬」という一つにスポットライトを当てています)
【例文】
The park is beautiful, especially in the spring.
日本語訳:その公園は美しいです。特に春は格別です。(訳注:公園が美しい季節は色々あるが、「春」という季節を際立たせています)
【例文】
This book is difficult to understand, especially the final chapter.
日本語訳:この本は理解するのが難しいです。特に最終章は。
このように、`A, especially B`(Aです、特にBが)という形で使われることが非常に多いのが特徴です。
【オーダーメイド】の specially の使い方
specially は、「ある特定の目的のために、わざわざ何かをする」ことを表します。「普通とは違う、特別な目的や理由があって」というニュアンスです。動詞を修飾することが多く、特に過去分詞(`made` `designed` `prepared`など)と相性が良いのが特徴です。
for a particular purpose という意味合いが強く、その行動の「目的」や「意図」を強調します。
specially を使う具体的なシチュエーション
【例文】
This kitchen was specially designed for a professional chef.
日本語訳:このキッチンは、プロの料理人のために特別に設計されました。(訳注:「プロの料理人が使う」という特別な目的のために、設計されたことを示しています)
【例文】
I came here specially to see you.
日本語訳:私はあなたに会うためだけに、わざわざここへ来ました。(訳注:「あなたに会う」という一つの目的を強調しています)
【例文】
The meal was specially prepared for the guests.
日本語訳:その食事は、来客のために特別に用意されたものだった。
このように、「〜のために」という目的語 (for ~ / to do ~) と一緒に使われることがよくあります。
【比較】especially と specially の違い早わかり表
二つの違いを、ポイントを絞って表にまとめました。頭の整理に役立ててください。
項目 | especially | specially |
---|---|---|
コアイメージ | スポットライト(数ある中の一つ) | オーダーメイド(特別な目的) |
主な意味 | とりわけ、中でも特に | 特別に、わざわざ、~専用に |
使い方のヒント | 一般的な話の後に、具体例を挙げる | 「目的」や「意図」を説明する |
例文 | I like warm weather, especially in summer. (暖かい気候が好き、特に夏の) | This coat was specially made for cold weather. (このコートは寒い気候のために特別に作られた) |
注意:口語やイギリス英語では、specially が especially の意味で使われることも稀にありますが、ここで解説した使い分けが最も一般的で、明確なルールです。まずはこの基本をマスターしましょう。
まとめ
今回は、似ているようで全く違う **especially** と **specially** の使い分けについて解説しました。この2つを使いこなせると、あなたの英語はよりきめ細やかで、表現豊かなものになります。
どちらを使うか迷ったら、「これはたくさんある中の一つを指しているのか、それとも特別な目的のためなのか」と自問自答してみてください。きっと正しい答えが見つかるはずです。
今日のポイント
- ✅ especially は「とりわけ」。ある集団の中から一つを際立たせる(スポットライト)。
- ✅ specially は「特別に」。ある特定の目的のために(オーダーメイド)何かを行う。
- ✅ especially は「A, especially B」の形でよく使われる。
- ✅ specially は「~のために(for/to)」という目的語とセットでよく使われる。