【学び直し英文法】自動詞・他動詞とは?
英語の動詞には自動詞と他動詞がありますが、意味や使い方の違いをご存じでしょうか。それぞれの特徴をしっかりと把握し、見分けられるようになると、一文の中で動詞が多数出てくるような英文も読解しやすくなります。また、ライティングをする際は自動詞と他動詞を使い分けられると、表現の幅が広がるでしょう。
この記事では、自動詞と他動詞の基礎知識とそれぞれを見分ける必要性、見分け方のポイントについてご紹介します。
英語の動詞には自動詞と他動詞がありますが、意味や使い方の違いをご存じでしょうか。自動詞と他動詞は日本人には馴染みのないニュアンスで、例えば「go」は自動詞、「visit」は他動詞と区別されます。
こうした微妙な違いは苦手意識を生むかもしれませんが、一度しっかり理解できれば正しい表現を身に付けることができます。この記事では自動詞と他動詞の意味の違いや見分け方を詳しく説明します。
自動詞と他動詞はどう違うの?
自動詞と他動詞の違いとしては、単語に「~を」や「~に」といった意味を含むかどうか、行動を起こすのが「主語」か「他者」かという2点が挙げられます。
単語の意味
まず最初に、自動詞と他動詞を見分けるために簡単な例文を見ていきましょう。
自動詞の特徴
【例文】
It rains today.
今日は雨が降る。
【例文】
I walked a lot yesterday.
私は昨日たくさん歩きました。
【例文】
I swim well.
私は泳ぐのが得意です。
自動詞は単語に「~を」や「~に」の意味を含まないので、目的語がなくても成り立ちます。例文で見ると「雨が降る」、「私は歩いた」、「私は泳ぐ」だけでも文章が成立するのがお分かりでしょう。
【例文】
I go to Tokyo today.
私は今日東京に行きます。
もし後ろに目的語を伴う場合は、目的語の前に前置詞が必要となります。この文章でも前置詞のtoが「~へ」という役割を担っています。
他動詞の特徴
【例文】
I visit his house tomorrow.
私は明日彼の家を訪ねる。
【例文】
I bought this book last week.
私は先週この本を買った。
【例文】
I watched the movie.
私はその映画を見た。
一方、他動詞は単語に「~を」や「~に」の意味を含むため、目的語がないと文章として成り立ちません。例文でも「私は訪ねる」、「私は買った」、「私は見た」だけでは「何を?」と聞きたくなってしまいますよね。
そのため他動詞の場合は必ず目的語を伴い、自動詞のように前置詞を付ける必要はありません。実際のところ、英語の動詞のほとんどは、この他動詞に該当します。
行動を起こす主体
自動詞と他動詞のもう一つの見分け方としては、行動を起こす主体が「主語」なのか「他者」なのかというポイントが挙げられます。
【自動詞】
He changed very much.
彼はとても変わった。
【他動詞】
He changed his hairstyle.
彼は髪型を変えた。
例えば上の例文(自動詞)は主語である彼自身が行動を起こしているのに対し、下の例文(他動詞)は「変わった」という行動の主体は、目的語である髪型と言えます。このように、自動詞は主語だけで動作が完結しますが、他動詞は他者に働きかける動作であるため、目的語が無ければ動作が完成しません。
目的語を二つ使う他動詞もある
他動詞の中には目的語を二つ付けるものもあります。代表例は「give」で、「give X A」で「XにAを与える」という意味になります。Xには「人」、Aには「物」が入ることが多いです。この場合、文法用語ではXを直接目的語、Aを間接目的語と呼びます。そのほか、「tell(話す)」「ask(尋ねる)」「teach(教える)」「send(送る)」「show(見せる)」なども、同じ用法で使われます。
【例文】
Tell me your story.
話を聞かせて。
【例文】
Ask me anything.
何でも質問してね。
【例文】
Please teach me English.
私に英語を教えてください。
これらの他動詞は常に目的語を二つ必要とするわけでなく、「tell a lie(嘘をつく)」「ask him(彼に聞く)」のように、目的語が一つの場合もあります。また、「give X A」を「give A to X」と、目的語を一つで表すこともできます。例えば「Please teach me English.」なら、「Teach English to me」と、「人」の前に「to」を付けて表現することができます。
なぜ見分ける必要があるの?
そもそも、なぜ自動詞と他動詞を見分ける必要があるのでしょうか。英文読解に注目して、自動詞と他動詞を見分ける重要性についてお伝えします。
文章の解釈を誤ってしまう
自動詞と他動詞を間違えると、解釈を誤る場合があります。
【正解】
He married her.
【不正解】
He married with her.
例えば「彼は彼女と結婚した」という文章を作る場合、marryの直後に目的語のherを伴う上の例文が正解です。marryは「~と結婚する」という意味の他動詞なので、「~と」につられてwithを入れるのは、文法的に間違いです。もし自動詞で表現したいならHe got married to herとしなくてはなりません。
また、現在分詞(~ing)を用いた際に、自動詞と他動詞では訳し方も大きく変わってきます。
【自動詞】
smiling mother
笑っている母
【他動詞】
exciting story
ワクワクさせる物語
自動詞は「~している」という状態を表すのに対し、他動詞は「~させる」という能動のニュアンスの違いが出てきたことがお分かりいただけたでしょうか?これはsmileが「笑う」という自動詞なのに対し、exciteが「~をワクワクさせる」という他動詞であることに起因しています。
自動詞と他動詞の見分け方
自動詞と他動詞を見分けるには?[/caption]
自動詞と他動詞の違いには、目的語や前置詞の有無が大きく関係しています。
ここでは、自動詞と他動詞をどうやって見分けるのかをご説明します。
動詞の後に目的語があるかチェックする
動詞の後に目的語があれば他動詞、なければ自動詞と考えることができます。
ただし、明らかに目的語が入る場合は省略されることもあるので、文脈から判断する必要があります。
例えば、目的語「the song」を省略するパターンとして以下のような例が挙げられます。
【例文】
My mother loves “Haru no Ogawa”.
私の母は『春の小川』が大好きだ。
【例文】
When she feels happy, she sings (the song).
幸せに感じたとき、彼女は(それを)歌う。
また、関係代名詞を使っている文では動詞の目的語が先行詞となって動詞より前に位置することがあるので、見逃さないようにしましょう。
【例文】
This is the present I gave to her.
これは、私が彼女に渡したプレゼントだ。
このように直後に目的語が来ない例外的なパターンがあることを知っておくことも大切です。「後ろに目的語が無いから自動詞」と決めつけてしまわないように気を付けましょう。
動詞の後に前置詞があるかチェックする
動詞の後に前置詞があれば、それは自動詞である可能性が高まります。上述のように、自動詞は「~に」「~を」などの意味を含まないため、方向や手段、理由などを示す場合は前置詞を使うからです。
例としては「go to a park(公園に行く)」「go by bicycle(自転車で行く)」などが挙げられます。「walk(歩く)」「run(走る)」「swim(泳ぐ)」など、独立した動作の場合は前置詞が付かないことがありますが、目的語がなければ自動詞と考えて良いでしょう。
例外もあるので注意
ただし即座に自動詞と判断するのは禁物です。
前置詞がなくても、名詞や形容詞の「補語」を取る自動詞があります。例えば「go shopping(買い物に行く)」「look young(若く見える)」などです。
前置詞が付くかどうかは一つの目安とし、自動詞の後に「補語」を付ける用法に注意しましょう。
「~させる」という意味合いの単語は他動詞
目的語がなくても、受け身で表現されることが多い単語は他動詞です。例えば、「surprise」「interest」「excite」などがあります。前にbe動詞がある場合は過去分詞の形にして「be surprised(驚く)」「be interested in(興味を持つ)」「be excited(興奮する)」のように形容詞的に使用します。
英語の動詞は他動詞が圧倒的に多い
英語に存在する動詞を自動詞と他動詞に分類すると、他動詞のほうが圧倒的に多いことが分かります。間違えやすい代表的な自動詞は暗記する必要がありますが、それ以外の動詞に関しては、まずは他動詞と考えて目的語を探すのも一つの手でしょう。
自動詞と他動詞の両方の意味を持つ英単語
英語の動詞の中には、自動詞と他動詞の両方の意味を持つものもあります。
自動詞 | 他動詞 | |
run | 走る | ~を経営する |
stand | 立つ | ~を立てる ~を我慢する |
begin | 始まる | ~を始める |
さらに、英語には「report」や「visit」「increase」などのように、動詞と名詞が同じ単語になっているうえ、さらに自動詞と他動詞両方の意味を持つケースもよくあります。こうした単語についても、自動詞と他動詞の違いを理解しておくと、それぞれ区別がつき、英文読解がスムーズになるでしょう。
これはライティングにも言えることです。自動詞なら適切な前置詞を使い、他動詞には目的語が必要です。また、自動詞では「walk fast to~(~に向かって速く歩く)」のように前置詞の前に副詞が入ることもあります。自動詞と他動詞それぞれの特徴を押さえ、意識して英作文をすることで、読み手に的確に意味が伝わる英文となるでしょう。
自動詞と他動詞を見分けて、英文読解をスムーズに
英語では、自動詞と他動詞いずれかの意味しかないという動詞はあまり多くなく、大半は両方の意味を持っています。英和辞書の多くはそれぞれ「自」「他」などのマークが付いて区別されているので確認してみましょう。
自動詞と他動詞を明確に区別できると、リーディングで英文の意味を正しく理解する上で大きな強みになります。一方、ライティングで自動詞と他動詞を使いこなすには、リーディングの練習を重ねて表現を吸収することが大切です。自動詞と他動詞に注目しながらなるべく多くの英文に触れ、自然な表現を身に付けていきましょう。