
英語の基本5文型 完全攻略ガイド:初心者から苦手克服まで、例文・見分け方・練習問題で徹底解説
英語学習を進める上で、「基本5文型」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。この5文型は、英文の構造を理解し、正確な読み書き、ひいては英会話能力の向上に不可欠な基礎文法とされています。しかし、「なんだか難しそう」「どうやって見分けるの?」と苦手意識を持っている方も少なくありません。

本記事では、英語の基本5文型について、その定義から各文型の特徴、豊富な例文、そして多くの人がつまずきやすい「目的語と補語の見分け方」まで、徹底的に解説します。さらに、効率的な覚え方や実践的な練習問題もご紹介。この記事を読み終える頃には、5文型に対する苦手意識が解消され、英語の骨格をしっかりと把握できるようになるでしょう。
英語の基本5文型とは?
英語の文は、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)、修飾語(M)という5つの要素の組み合わせで成り立っています。このうち、修飾語(M)は文の主要な骨格には含まれず、文型を決定する要素ではありません。残りのS, V, O, Cの組み合わせによって、英文は以下の5つの基本的な形に分類されます。
- 第1文型:SV(主語+動詞)
- 第2文型:SVC(主語+動詞+補語)
- 第3文型:SVO(主語+動詞+目的語)
- 第4文型:SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)
- 第5文型:SVOC(主語+動詞+目的語+補語)
これらの文型を理解することは、複雑な英文の構造をクリアに把握し、正しい文章を作成するための土台となります。また、読む・書く・聞く・話すの4技能のスピードと正確性を向上させる上でも非常に重要です。
文の要素(S, V, O, C, M)の役割
まずは、それぞれの要素がどのような役割を果たすのかを確認しましょう。
- S(主語:Subject) :動作や状態の主体を表し、「誰が」「何が」にあたります。英語の文では、命令文などの一部例外を除き、基本的に主語が必須です。名詞や代名詞が主語になります。
- V(動詞:Verb) :動作や状態を表す語で、「~する」「~である」にあたります。be動詞と一般動詞の2種類があり、全ての文型に必須の要素です。動詞の種類(自動詞か他動詞か)が文型を決定する鍵となります。
- O(目的語:Object) :動詞が表す動作の対象を表し、「~を」「~に」にあたります。名詞や代名詞が目的語になります。
- C(補語:Complement) :主語や目的語を説明・補足する語です。名詞や形容詞が補語になります。
- M(修飾語:Modifier) :主語、動詞、目的語、補語の4要素に分類されない単語や句、節で、文に具体性を与える働きをします。文型には影響しません。
各文型の徹底解説と豊富な例文
それでは、それぞれの文型について詳しく見ていきましょう。
第1文型【SV】(主語+動詞)
第1文型は、主語(S)と動詞(V)だけで文が完結する最もシンプルな形です。動詞は「自動詞」のみが用いられ、目的語を必要としません。
【例文】
He cooks.
彼は料理する。
【例文】
She joined.
彼女は参加した。
【例文】
We smiled.
私たちは微笑んだ。
※「He goes to the hospital.(彼は病院へ行く。)」のように、動詞の後に修飾語(M)が続く場合もありますが、修飾語は文型に影響しません。
第2文型【SVC】(主語+動詞+補語)
第2文型は、主語(S)と動詞(V)の後に補語(C)が続く形です。この文型では、「S=C」という関係が成り立ち、補語が主語の状態や性質を説明します。動詞はbe動詞や「~のように見える(look)」「~になる(become)」などが使われます。
【例文】
He is a cook.
彼は料理人です。(He = a cook)
【例文】
She looks angry.
彼女は怒っているように見えます。(She = angry)
【例文】
They are my friends.
彼らは私の友達です。(They = my friends)
第3文型【SVO】(主語+動詞+目的語)
第3文型は、主語(S)と動詞(V)の後に目的語(O)が続く形です。動詞は「他動詞」のみが用いられ、動詞の動作の対象となる目的語を必ず取ります。この文型では、「S≠O」という関係が成り立ちます。
【例文】
I have a banana.
私はバナナを持っています。(I ≠ a banana)
【例文】
She plays tennis.
彼女はテニスをします。(She ≠ tennis)
【例文】
He likes the book.
彼はこの本が好きです。(He ≠ the book)
第4文型【SVOO】(主語+動詞+目的語+目的語)
第4文型は、主語(S)と動詞(V)の後に目的語が2つ続く形です。最初の目的語(O1)は「~に」にあたる間接目的語、2番目の目的語(O2)は「~を」にあたる直接目的語となります。この文型では、「O1≠O2」という関係が成り立ちます。動詞は「与える(give)」「教える(teach)」「買う(buy)」など、相手に何かを与える意味合いを持つものが多く使われます。
【例文】
He cooked me dinner.
彼は私に夕飯を作った。(me ≠ dinner)
【例文】
She gave him a letter.
彼女は彼に手紙をあげました。(him ≠ a letter)
【例文】
I teach kids music.
私は子ども達に音楽を教えます。(kids ≠ music)
※第4文型は、前置詞(to/forなど)を使って第3文型に書き換えることができます。
- She gave him a letter. → She gave a letter to him.
- He bought me a book. → He bought a book for me.
第5文型【SVOC】(主語+動詞+目的語+補語)
第5文型は、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)の後に補語(C)が続く形です。この文型では、「O=C」という関係が成り立ち、補語が目的語の状態や性質を説明します。動詞は「~にする(make)」「~と呼ぶ(call)」「~と名付ける(name)」などがよく使われます。
【例文】
His Italian food makes me happy.
彼のイタリア料理は私を幸せにする。(me = happy)
【例文】
Everyone calls him Jessy.
みんなは彼をジェシーと呼びます。(him = Jessy)
【例文】
I left the door open.
私はドアを空けたままにしました。(the door = open)
目的語(O)と補語(C)の見分け方:もう迷わない!
英語の5文型を学ぶ上で、多くの人がつまずきやすいのが目的語(O)と補語(C)の区別です。しかし、簡単なポイントを押さえれば、見分けるのは難しくありません。
目的語(O)と補語(C)の役割の違い
- 目的語(O) :動詞の動作の対象を表します。主語とは異なるもので、動詞の後に置かれます。
- 補語(C) :主語や目的語を説明・補足する役割を持ちます。主語や目的語とイコール関係が成り立ちます。
見分け方のポイント
最も簡単な見分け方は、その要素が「イコール関係」で結べるかどうかです。
- 補語(C)の場合 :
第2文型(SVC)では「S=C」の関係が成り立ちます。
第5文型(SVOC)では「O=C」の関係が成り立ちます。
補語になれる品詞は主に名詞や形容詞です。 - 目的語(O)の場合 :
第3文型(SVO)では「S≠O」の関係が成り立ちます。
第4文型(SVOO)では2つの目的語の間に「O1≠O2」の関係が成り立ちます。
目的語になれる品詞は名詞や代名詞です。
例で考えてみましょう。
【例文】
He is a cook.
彼は料理人です。
この文では「He(彼)」と「a cook(料理人)」はイコール関係(彼=料理人)が成り立ちます。したがって、「a cook」は補語(C)です。
【例文】
I have a banana.
私はバナナを持っています。
この文では「I(私)」と「a banana(バナナ)」はイコール関係が成り立ちません(私≠バナナ)。したがって、「a banana」は目的語(O)です。
この「イコール関係」の有無を意識するだけで、OとCの判別は格段に楽になります。
英語5文型を効率的に覚えるコツと学習法
5文型をマスターするためには、ただ知識を詰め込むだけでなく、効率的な学習法を取り入れることが重要です。
動詞の重要性を理解する
5文型は、動詞がどのような要素を取るかによって決まります。したがって、新しい動詞を学ぶ際には、それが自動詞なのか他動詞なのか、目的語を2つ取れるのか、補語を伴うのかなどを意識して覚えるようにしましょう。動詞の性質を理解することが、文型を見分ける上で最も重要な鍵となります。
要素間の関係性を活用する
前述の「S=C」「O=C」「S≠O」「O1≠O2」といった要素間の関係性を意識して文を分析する練習を繰り返しましょう。これにより、文の構造がより明確に見えてくるようになります。
文型に影響しない要素を把握する
時制(過去形、未来形など)や修飾語(M)は、文型には影響しません。例えば、「He will make you happy.(彼はあなたを幸せにするつもりだ。)」は未来形ですが、第5文型(SVOC)であることに変わりはありません。文型を判断する際には、これらの要素を一旦無視して主要なS, V, O, Cに注目することが大切です。
学習リソースを効果的に活用する
- 文法書で学ぶ :体系的に文法を学びたい場合は、信頼できる文法書を活用しましょう。
- オンライン英会話で学ぶ :実践の中で5文型を意識して使う練習をすることで、知識の定着を促せます。
- YouTubeなどの動画コンテンツ :視覚的に分かりやすく解説されている動画も多く、理解を助けてくれます。
英語5文型 練習問題:実践で理解を深める
知識を定着させるには、実際に問題を解いてみることが不可欠です。ここでは、文型判別と要素分解の練習問題をご紹介します。
練習問題
以下の英文が第何文型か、またS, V, O, C, Mの各要素を特定してみましょう。
- The girl laughed loudly.
- She feels happy about that.
- I have a lot of books.
- My parents gave me a new car on my birthday.
- Everyone calls me John.
解答と解説
- The girl laughed loudly.
S: The girl, V: laughed, M: loudly
第1文型【SV】
解説:「loudly(大声で)」は動詞「laughed」を修飾する副詞なのでMです。SとVだけで文が完結しています。 - She feels happy about that.
S: She, V: feels, C: happy, M: about that
第2文型【SVC】
解説:「She(彼女)」と「happy(幸せ)」はイコール関係(彼女=幸せ)が成り立ちます。「about that」は修飾語です。 - I have a lot of books.
S: I, V: have, O: books, M: a lot of
第3文型【SVO】
解説:「I(私)」と「books(本)」はイコール関係が成り立ちません(私≠本)。「a lot of」は「books」を修飾するMです。 - My parents gave me a new car on my birthday.
S: My parents, V: gave, O1: me, O2: a new car, M: on my birthday
第4文型【SVOO】
解説:「me(私)」と「a new car(新しい車)」はイコール関係が成り立ちません(私≠新しい車)。「on my birthday」は修飾語です。 - Everyone calls me John.
S: Everyone, V: calls, O: me, C: John
第5文型【SVOC】
解説:「me(私)」と「John(ジョン)」はイコール関係(私=ジョン)が成り立ちます。
初心者向け・苦手意識克服のためのアプローチ
「文法は苦手…」と感じる方でも、5文型は英語学習の「土台」であり、ここを固めることで、その後の学習が格段に楽になります。
専門用語を平易な言葉に置き換える
「S, V, O, C, M」といった記号を見ると難しく感じるかもしれませんが、これらは「文の要素」を表すだけです。まずは「主語は『~は、~が』」「動詞は『~する、~である』」のように、日本語の感覚でそれぞれの役割を理解することから始めましょう。
要素の役割を具体例で覚える
「主語になれるのは名詞」「補語になれるのは名詞か形容詞」といったルールを、具体的な単語や短いフレーズで覚えることで、より直感的に理解できます。
学習メリットを再確認する
なぜ5文型を学ぶのか、そのメリットを常に意識しましょう。
- 複雑な英文の意味や構造がクリアにわかるようになる
- 正しい英語の文章を作れるようになる
- 読む・書く・聞く・話すの4技能のスピードと正確性がアップする
- 膨大な量の文法や単語の使い方がすっきり整理できる
これらの具体的なメリットを理解することで、学習へのモチベーションを維持し、苦手意識を克服する力に変えることができます。
まとめ:英語5文型マスターへの道
英語の基本5文型は、英文の骨格を理解し、正確な英語力を身につけるための不可欠な基礎です。各文型の定義、構成要素、そして特に混同しやすい目的語と補語の見分け方をマスターすることで、英語学習は飛躍的に効率化されます。
本記事で解説した内容を参考に、ぜひ5文型学習に取り組んでみてください。繰り返し練習し、実践の中で使いこなせるようになることが、英語力向上の鍵となります。
英語5文型マスターへのポイント:
- 主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)、修飾語(M)の役割を理解する。
- 各文型(SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC)の定義と特徴を豊富な例文で覚える。
- 目的語(O)と補語(C)は「イコール関係」の有無で見分ける。
- 動詞の性質に注目し、要素間の関係性を意識して学習する。
- 練習問題を繰り返し解き、知識を定着させる。
- 専門用語を恐れず、学習メリットを意識して苦手意識を克服する。