英単語を覚えるなら「語源」で学ぶと効率的!話題の語源学習法とは?

英語力向上のためには語彙数を増やすことが欠かせませんが、膨大な数の単語を暗記するのは骨が折れます。効率的な覚え方がいろいろと提唱されている中で、ちょっと異色の方法として注目されているのが語源学習法です。 これは単語を部品に分解して部品の知識をもとに英単語を学ぶ方法です。「単語に加えて部品まで覚えなくちゃならないのか!」と思われるかもしれませんが、部品を知ることで単語どうしの「つながり」や「まとまり」が見えてくるので、ばらばらの単語をやみくもに覚えるよりもかえって効率的なのです。 今回は、部品のなかでも比較的取り組みやすく応用性も高い「接頭辞(せっとうじ)」「接尾辞(せつびじ)」を題材にして、語源学習法の「いろは」を具体的に解説していきます。

英語力向上のためには語彙数を増やすことが欠かせませんが、膨大な数の単語を暗記するのは骨が折れます。効率的な覚え方がいろいろと提唱されている中で、ちょっと異色の方法として注目されているのが語源学習法です。

これは単語を部品に分解して部品の知識をもとに英単語を学ぶ方法です。「単語に加えて部品まで覚えなくちゃならないのか!」と思われるかもしれませんが、部品を知ることで単語どうしの「つながり」や「まとまり」が見えてくるので、ばらばらの単語をやみくもに覚えるよりもかえって効率的なのです。

今回は、部品のなかでも比較的取り組みやすく応用性も高い「接頭辞(せっとうじ)」「接尾辞(せつびじ)」を題材にして、語源学習法の「いろは」を具体的に解説していきます。

語源学習法とは?のやり方とメリット

単語の歴史(語源)をさかのぼって見ると、1つの単語をいくつかの部品に分解することができます。そうした部品に着目して単語を覚えるのが語源学習法です。ここでは「irresistible」という単語を例にして基本的なやり方を説明し、語源学習法のメリットを解説します。

語源学習法のやり方

「irresistible」は次のように4つの部品に分解することができます。真ん中にあって意味の中核を担う部品(ここではsist)を語根(ごこん)、その前にある部品を接頭辞、後にある部品を接尾辞と呼びます。

irresistible= ir(ない)+re(対して)+ sist(立つ)+ible(できる)
= ir(ない)+resist(抵抗する・対抗する)+ible(できる)
= 抵抗できない

英単語としての意味は、「(どうしても欲しくなってしまうほど)魅力的な」「(どうしても抑えがたいほど欲求が)強い」となります。「抵抗できない」という語源的意味からは多少飛躍があるので、その分は補って単語を理解します。

上の4つの部品はたくさんの単語で使われており、汎用性の高い部品です。こうした汎用性の高い部品(=未知の単語での遭遇率が高い部品)から覚えていくのが語源学習法の基本戦略となります。

語源学習法のメリット

未知の単語のなかに知っている部品があると、意味の見当をつけることができ、ゼロから覚えるよりもかなり覚えやすくなります。汎用性の高い部品はたくさんの単語に現れますので、効率的に単語を覚えられることになります。

さらに、同義の部品を持つ単語を並べたり、対照的な部品を持つ単語どうしを比べたりすることによっても記憶が促進されますし、単語のニュアンスを明確化する効果もあります。

接頭辞

接頭辞は語根の前につく部品で、後に続く部分に様々な意味を加えます。

「否定・反対」を表す接頭辞

冒頭で取り上げた「ir」は否定・反対を表す部品です。同様の意味を持つ接頭辞に「dis」があります。ここではこの2つの接頭辞のニュアンスの違いを解説し、単語例を紹介します。

接頭辞「in/ir/im/il」の意味と単語例

「in/im/ir/il」は「反対の性質」「性質が欠けていること」を表します。基本形は「in」で、後続する部品によっては「ir」などの形に変化します。

語源意味
independentin(ない)+ depend(頼る)+ ent(形容詞語尾)
※depend = de(下に)+ pend(吊す・ぶら下がる)→頼る・依存する
独立した・自立した
infantin(ない)+ fant(話す)赤ん坊・乳児・幼児
immuneim(ない)+ mune(変わる)(病気に対して)免疫がある
→影響がない
immoralim(反する)+ moral(道徳・道徳的な)道徳に反する・みだらな
illegalil(反する)+legal(法律に関する・合法の)違法の・非合法の

接尾辞「ent」はそれ自体でははっきりした意味を持たず、おもに品詞を表す働きをします。以下に出てくる「ant・ute・ate・cate・ion」なども同様です。

接頭辞「dis」の意味と単語例

「dis」も「否定・反対」を表しますが、「反対になる・反対のことをする」といった動き・変化を表すのが通例です。「悪化」のニュアンスを持つこともあります。

語源意味
diseasedis(反対になる)+ ease(安楽)病気
discoverdis(反対のことをする)+ cover(覆う)発見する
displaydis(反対のことをする)+ play(折りたたむ)
→中にあるものをはっきり示す
(感情・性質などを)外に表す
展示・陳列する
disclosedis(反対のことをする)+ close(閉じる)開示する・発表する
暴露する
disrespectdis(反対のことをする)+ respect(尊敬する)
※respectの語源は後述
軽蔑・軽視する

「前・後」を表す接頭辞

ここでは時間的・空間的な「前後」を表す接頭辞を3つ取り上げます。

接頭辞「pre」の意味と単語例

「pre」は時間的・空間的に「前・以前」であることを表します。

語源意味
preparepre(前もって)+ pare(用意・供給する)準備して使えるようにしておく・支度する
precisepre(前もって)+ cise(切る)
→必要に応じて前もって切っておく
正確な・精密な
presentpre(目の前に)+ sent(ある)
→今そこにある/目の前に置く
現在・現在の
提示する・贈る
プレゼント
prescribepre(前もって)+ scribe(書く)
→指示を書いて与える
(医師が)処方する
(規則などを)規定する
pregnantpre(前)+gn(生む)+ ant(形容詞語尾)妊娠中の

接頭辞「post」の意味と単語例

「post」はおもに時間的な「後」を表します。

語源意味
postponepost(後に)+ pone(置く)延期する
postscriptpost(後に)+ script(「書く」の過去分詞)
→後に書かれたもの(後置される書きもの)
追伸・後書き

接頭辞「pro」の意味と単語例

「pro」も「pre」と同じく時間的・空間的な「前」を表しますが、前に向かう動きや対立のニュアンスを持ちます。

語源意味
proposepro(前に)+ pose(置く)
※pose=pone
提案する・プロポーズする
projectpro(前へ向かって)+ ject(投げる)(慎重に策定された)計画・プロジェクト
予測する
(映像を)投影する
promotepro(前へ向けて)+ mote(動かす)促進する・昇進させる・(興業を)主催する

その他の頻出接頭辞

よく使われる接頭辞をあと4つ紹介します。

接頭辞「con/com」の意味と単語例

「con/com」は「一緒に」という意味を持ちます。

語源意味
composecom(一緒に)+ pose(置く)
→音や言葉を組み合わせる
作曲する・(詩などを)作る
constitutecon(一緒に)+ stit(立つ)+ ute(動詞語尾)
※stit=sist
(複数のものが合わさって1つのものを)構成する
communicatecom(一緒に)+ muni(変化する)+ cate(動詞語尾)→互いに影響を与えあう
※muni=mune
情報を交換する・伝える

接頭辞「re」の意味と単語例

「re」は「再び・返す・対抗する」を表します。

語源意味
respectre(返す)+ spect(見る)→(特別なものとして)見返す尊敬する・尊重する
観点
remindre(再び)+ mind(心・覚え)思い出させる
rejectre(返す)+ ject(投げる)→提示されたものを投げ返す却下する・拒否する

接頭辞「ex/e」の意味と単語例

「ex/e」は「外へ」を意味します。

語源意味
expressex(外へ)+ press(押す)→押し出す・表出する(思いや感情を)表出する・表現する
eject e(外へ)+ ject(投げる)噴き出す
立ち退かせる
(CDなどを機器から)取り出す

接頭辞「im/em」の意味と単語例

「im/em」は「中へ」を意味します。

語源意味
impressim(中へ)+ press(押す)感銘を与える・(よい)印象を与える
押印する
employem(中へ)+ ploy(折りたたむ)
→巻き込む・関係させる
※ploy=play
雇う
使用する・利用する

接尾辞

接尾辞は語根の後につく部品で、前の部分に様々な意味を加えます。また、上の例で見たように品詞を表す働きをする接尾辞もあります。

「人」に関する意味を表す接尾辞

「~する人」「~される人」を表す接尾辞を取り上げます。

接尾辞「er/or」の意味と単語例

「er/or」はさまざまな動詞について「~する人」や人以外の動作主を表します。

語源意味
promoterpromote(促進する)+ er(動作主)促進する働きをする人・物
例:(施策・考え方などの)推進者・興業主・(化学反応の)促進剤
employeremploy(雇う)+ er(~する人)雇い主・雇用者
reminderremind(思い出させる)+ er(動作主)思い起こすきっかけになるもの
催促状
projectorproject(投影する)+ or(動作主)映写機・投影装置・プロジェクター

接尾辞「ee」の意味と単語例

「ee」は「~される人」を表します。

語源意味
employeeemploy(雇う)+ ee(~される人)従業員・被雇用者
intervieweeinterview(インタビュー)+ ee(~される人)
※interviewer=インタビューを行う人
インタビューや取材を受ける人・インタビュイー
traineetrain(訓練する)+ ee(~される人)訓練を受けている人・見習い
nomineenomin(ate)(指名する)+ ee(~される人)
※nominate=nomin(名前)+ ate(動詞語尾)→指名する
候補者・推薦された人

接尾辞「ist」の意味と単語例

「ist」は特定の方式や主義にしたがって何かを「する人」を意味します。例えば「専門家」や「~主義者」を表します。

語源意味
specialistspecial(特別の・専門の)+ ist(~する人)専門家
dentistdent(歯)+ ist(専門家)歯科医
soloistsolo(ひとりで・独奏)+ ist(~する人・専門家)独奏者・ソリスト
capitalistcapital(資産・資本)+ ist(主義者)資本主義者
資本家

「可能」を表す接尾辞

冒頭で挙げた「ible」は「~できる」または「~に値する」を意味します。「able」も同じ意味を持つ接尾辞です。

語源意味
comparablecompare(比較する)+ able(できる)(基本的な点が似ているため)比較できる
respectablerespect(尊敬)+ able(できる・値する)ちゃんとした・立派な・まともな
horriblehorr(恐怖)+ ible(値する)恐ろしい・ショッキングな
非常に不快な

その他の頻出接尾辞

よく使われる接尾辞をあと3つ紹介します。

接尾辞「ism」の意味と単語例

「ism」は「主義」や「特定の型や法則性を持つ性質・行為・現象」などを表します。「ist」と関係が深い接尾辞です。

語源意味
capitalismcapital(資産・資本)+ ism(主義)資本主義
heroismhero(英雄)+ ism(特定の型を持つ性質・行為)英雄的な勇敢さ
英雄的行為
magnetismmagnet(磁石)+ ism(法則性を持つ現象)磁気・磁気現象

接尾辞「logy」の意味と単語例

「logy」は「話す・言葉」を意味する古代ギリシア語に由来し、「学問・理論」などを表します。

語源意味
biologybio(生命)+ logy(学問)生命科学・生物学
geologygeo(土地・地球)+ logy(学問)地質学
immunologyimmune(免疫の)+ logy(学問)免疫学

接尾辞「ics」の意味と単語例

「ics」は「学問」を表します。

語源意味
geneticsgene(生む)+ ics(学問)
※gene=gn
※単語「gene」は「遺伝子」を意味する
遺伝学
physics phys(自然)+ ics(学問)物理学
geophysicsgeo(土地・地球)+ physics(物理学)地球物理学

まとめ

今回は代表的な接頭辞・接尾辞をもとに語源学習法を紹介してきました。接頭辞・接尾辞はたくさんの種類がありますが、すべてを覚える必要はまったくありません。汎用性の高いものを選んで少しずつ学習していけば、単語を理解する力、覚える力が着実に高まっていきます。総合的な「使える」語彙力を目標に、例文・フレーズの暗記や類義語・対義語の学習などと組み合わせながら語源学習を深めていくのがおすすめです。

また、未知の単語に出会ったときに語源の知識をもとに意味を推測するようにすると、語源理解が確かになるとともに英単語を見る目も養われます。ぜひ試してみてください。

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