集合名詞とは、`family` や `team` のように、複数の人やモノの集まりを「一つの塊」として捉える単語のことです。この集合名詞の単数・複数の扱い方は、ネイティブスピーカーが持つ「グループの捉え方」の感覚が反映されており、多くの学習者がつまずくポイントです。
この記事では、そんな集合名詞の基本的なルールと、`is` と `are` のどちらを使うべきかという、一歩進んだ使い方について分かりやすく解説していきます。
結論:グループを「一つの塊」と見るか、「個人の集まり」と見るか
集合名詞を使いこなすための、最も重要な考え方。それは、そのグループを「一つの統一体(ユニット)」として見ているか、それとも「構成メンバー(個人)」の集まりとして見ているか、という視点です。
- グループを「一つの塊」と見るとき → 単数扱い(動詞は `is`, `has` など)
(主にアメリカ英語で好まれる考え方) - グループを「個人の集まり」と見るとき → 複数扱い(動詞は `are`, `have` など)
(主にイギリス英語で好まれる考え方)
この視点の違いが、動詞の形を決める鍵となります。まずは、最も間違いやすい `staff` の使い方から見ていきましょう。
`staff` の正しい使い方:「職員全体」を指す単語
`staff` という単語は、それ自体で「ある組織の職員全体」を意味します。つまり、単語の中にすでに「複数の人々」というニュアンスが含まれているのです。そのため、原則として複数形の `s` をつけて `staffs` とすることはありません。
では、「一人のスタッフ」や「数人のスタッフ」と言いたいときは?
`staff member` という言葉を使います。`member` は数えられるので、複数形にもできます。
【例文】
The hotel staff is very helpful.
日本語訳:そのホテルのスタッフは、とても親切です。(訳注:`staff` という「一つのグループ」として見ているので、動詞は `is`)
【例文】
There are ten staff members in our department.
日本語訳:私たちの部署には10人のスタッフがいます。(訳注:`staff member` を使って、個々の人数を数えている)
❌
There are ten staffs in our department.
※ `staffs` が使われるのは、「A社のスタッフとB社のスタッフ」のように、複数の異なる組織のスタッフグループについて話す、非常に稀なケースです。
単数扱い?複数扱い? `team` や `family` の場合
`team` や `family` のような集合名詞は、文脈や話者の意図によって、単数扱いにも複数扱いにもなるとても面白い単語です。ここには、アメリカ英語とイギリス英語の違いも現れます。
「一つの塊」と見るとき → 単数扱い(主にアメリカ英語)
チームや家族が、一つのユニットとして、同じ方向を向いて行動しているイメージです。
【例文】
Our team is winning the game.
日本語訳:私たちのチームは、試合に勝っています。(訳注:チームが一丸となって戦っている)
【例文】
My family is large.
日本語訳:私の家族は大家族です。(訳注:家族という一つの単位の規模を説明している)
「個人の集まり」と見るとき → 複数扱い(主にイギリス英語)
チームのメンバーや、家族一人ひとりが、それぞれ異なる行動や意見を持っているイメージです。
【例文】
The team are discussing their opinions.
日本語訳:チームのメンバーは、彼らの意見を議論しています。(訳注:メンバーがそれぞれ個別に意見を述べている)
【例文】
My family are all early risers.
日本語訳:私の家族は、みんな早起きです。(訳注:家族のメンバーが、一人ひとり早起きである)
【学習者へのアドバイス】
この使い分けは高度なので、迷った場合は、集合名詞は「単数扱い」としておけば、特にアメリカ英語では自然に聞こえ、大きな間違いにはなりません。
常に複数扱いする集合名詞:`police`
集合名詞の中には、常に複数として扱われるものもあります。その代表が `police`(警察)です。
`police` は「警察組織全体」または「複数の警察官」を指し、動詞は常に複数形 (`are`, `have` など) を使います。一人の警察官を指す場合は `a police officer` と言います。
【例文】
The police are looking for the suspect.
日本語訳:警察は、容疑者を探しています。❌
The police is looking for the suspect.
まとめ
今回は、多くの学習者が使い方に迷う「集合名詞」について解説しました。グループを「一つの塊」として見るか、「個人の集まり」として見るかというネイティブの感覚を理解することが、マスターへの鍵です。
特に `staff` に `s` をつけないこと、そして `police` は常に複数扱いであることは、基本的なルールとしてしっかり覚えておきましょう。これらのルールを意識するだけで、あなたの英語はより正確で、洗練された印象になります。
今日のポイント
- ✅ 集合名詞は、複数の人やモノの集まりを「一つの単位」として見る単語。
- ✅ `staff` はそれ自体が「職員全体」を意味するため、原則として `s` はつけない。一人ひとりを指すなら `staff member(s)` を使う。
- ✅ `team` や `family` は、グループ全体を「一つの塊」と見るときは単数動詞 (`is`) 、「個々のメンバー」を意識するときは複数動詞 (`are`) を使う。迷ったら単数扱いが無難。
- ✅ `police` は常に複数動LEC (`are`) を使う。一人の警官は `a police officer`。