
【discuss aboutは間違い?】目的語が鍵!自動詞と他動詞の決定的違い
「私たちはその問題について議論した」
これを英語にしようとして、”We discussed about the problem.” と書いてしまった経験はありませんか? 日本語の「〜について」という助詞に引かれて `about` を入れたくなりますが、これは文法的に間違いで、正しくは “We discussed the problem.” となります。

なぜ `about` が不要なのでしょうか? その答えは、英語の動詞が持つ「自動詞」と「他動詞」という性質の違いにあります。
この区別は、正しい文型で英文を作るための土台となる、非常に重要なルールです。しかし、日本語にはない概念のため、多くの学習者がつまずいてしまいます。この記事では、そんな自動詞と他動詞の根本的な違いと、見分け方のコツを分かりやすく解説していきます。
結論:「〜を」「〜に」の目的語が直後に必要かどうか
2種類の動詞を見分けるための、たった一つのシンプルなルール。それは、動詞の直後に「何を?」「誰を?」にあたる言葉(目的語)を必要とするかどうかです。
- 他動詞 (Transitive Verb):動作の対象となる目的語(O)が必ず必要な動詞。「〜を」「〜に」がないと文が不自然になる。
- 自動詞 (Intransitive Verb):目的語が不要で、主語(S)と動詞(V)だけで文が成り立つ動詞。
動詞を見たら、「(誰が)〜する」の後に「何を?」と続けられるかを自問自答する癖をつけるのが、最大の攻略法です。続けられれば他動詞、続けられなければ自動詞です。
他動詞:「〜を」「〜に」が必要な動詞
他動詞は、その動作が他に影響を及ぼすため、必ず「何を」「誰に」にあたる目的語を必要とします。`I have.`(私は持っている)だけでは、「何を?」という情報が足りず、文として不完全ですよね。`I have a pen.` のように目的語が来て初めて意味が通じます。
日本人が前置詞をつけがちな他動詞
日本語の助詞(てにをは)の感覚に引かれて、本当は不要な前置詞を置いてしまいがちな他動詞がたくさんあります。これらは「動詞自体に前置詞の意味が含まれている」と考えると分かりやすいです。
よくある間違い | 正しい形 | 解説 |
---|---|---|
discuss about the issue | discuss the issue | `discuss` = 〜について議論する |
marry with him | marry him | `marry` = 〜と結婚する |
enter into the room | enter the room | `enter` = 〜に入る |
reach to the station | reach the station | `reach` = 〜に到着する |
mention about it | mention it | `mention` = 〜について言及する |
自動詞:「〜を」「〜に」が不要な動詞
自動詞は、動作が主語だけで完結するため、目的語を必要としません。`I run.`(私は走る)や `Birds fly.`(鳥は飛ぶ)のように、主語と動詞だけで文として成立します。
もし自動詞の後に「どこで」「誰と」といった情報を加えたい場合は、必ず前置詞が必要になります。
【例文】
I live in Tokyo.
日本語訳:私は東京に住んでいます。(訳注:`live` は自動詞なので、「東京」という場所を示すために前置詞 `in` が必要)
【例文】
Please listen to me carefully.
日本語訳:私の話を注意して聞いてください。(訳注:`listen` は自動詞なので、「私に」という対象を示すために前置詞 `to` が必要)
【最難関】形が似ていて紛らわしい自動詞・他動詞ペア
英語には、形がよく似ているのに、一方は自動詞、もう一方は他動詞という、非常に紛らわしいペアが存在します。これは上級者でも間違えるポイントなので、しっかり区別しましょう。
1. lie(横になる) vs lay(〜を横たえる)
- lie(自動詞):主語が自分で「横になる」。目的語は不要。(活用:lie – lay – lain)
- lay(他動詞):主語が何か「〜を横たえる、置く」。目的語が必要。(活用:lay – laid – laid)
【例文】
I’m going to lie down for a while.
日本語訳:私は少しの間、横になります。【例文】
She laid the baby on the bed.
日本語訳:彼女は赤ちゃんをベッドに寝かせた(横たえた)。
2. rise(昇る) vs raise(〜を上げる)
- rise(自動詞):主語が自然に「昇る、上がる」。目的語は不要。(活用:rise – rose – risen)
- raise(他動詞):主語が何か「〜を上げる」。目的語が必要。(活用:raise – raised – raised)
【例文】
The sun rises in the east.
日本語訳:太陽は東から昇る。【例文】
Please raise your hand if you have a question.
日本語訳:質問がある方は、手を上げてください。
まとめ
今回は、正しい英文を作るための基礎となる、「自動詞」と「他動詞」の違いについて解説しました。日本語の助詞の感覚に頼らず、動詞の後に「〜を」「〜に」にあたる目的語が必要かどうかを常に考えることが、マスターへの近道です。
特に、`discuss` や `marry` のように、動詞自体に前置詞のような意味が含まれている他動詞は、意識しないと間違えやすいポイントです。この区別がしっかりできるようになると、文の構造がクリアに見え、より正確な英語を書いたり話したりできるようになります。
今日のポイント
- ✅ 他動詞は、直後に目的語(「〜を」「〜に」)が必ず必要な動詞。
- ✅ 自動詞は、目的語が不要で、それだけで文が成り立つ動詞。もし後ろに名詞を置くなら前置詞が必要。
- ✅ `discuss`, `marry`, `enter`, `reach` などは、前置詞が不要な他動詞の代表例。
- ✅ `lie/lay`(横になる/〜を横たえる)や `rise/raise`(上がる/〜を上げる)のような紛らわしいペアは、意味とセットで覚える。