【give upはなぜ諦める?】ネイティブの感覚で覚える句動詞イメージ攻略法

`give`は「あげる」、`up`は「上に」。では、なぜ `give up` が「あきらめる」という意味になるのか、不思議に思ったことはありませんか?

このように、「動詞+前置詞(または副詞)」がセットになることで、元の動詞とは異なる、全く新しい意味を持つようになるものを「句動詞(Phrasal Verbs)」と呼びます。ネイティブスピーカーの日常会話では、この句動詞が非常に頻繁に使われ、使いこなせると英語が一気に自然でこなれた印象になります。

しかし、種類が膨大で、意味も推測しにくいため、多くの学習者が丸暗記に苦労しています。ですが、実は`up`, `off`, `on` といった短い単語(パーティクル)には、それぞれ核となるイメージがあり、それを理解することで、多くの句動詞の意味を感覚的に捉えることができるようになるのです。

この記事では、丸暗記に頼らず、ネイティブの感覚で句動詞をマスターするための「イメージ攻略法」を解説します。

結論:鍵は「パーティクル」のコアイメージを掴むこと

句動詞の攻略の鍵は、動詞の後ろにくっつく短い単語、`up`, `off`, `on` などの「パーティクル」が持つ、根本的なイメージを理解することです。物理的な意味(例:`up`=上へ)が、比喩的に拡張されて、様々な意味合いを生み出します。

今回は、特に多くの句動詞で使われる `up` のイメージを見ていきましょう。

パーティクル `up` のコアイメージ

  • ①「上へ」:文字通りの物理的な方向。(例: `stand up`)
  • ②「出現」:隠れていたものが、表舞台に「ポンと現れる」イメージ。
  • ③「完成・完全」:「完全に〜しきる」「最後までやり遂げる」という、完璧な状態へ向かうイメージ。
  • ④「終了」:③の「完成」から転じて、「終わり」のニュアンス。

このイメージを頭に入れて、具体的な句動詞を見ていくと、なぜその意味になるのかが驚くほどすっきりと理解できます。


`up` のイメージで攻略する頻出・句動詞リスト

1. give up(あきらめる、やめる)

イメージ:【終了・完成】
持っていた権利や挑戦などを、完全に(`up`)手放す(`give`)というイメージから、「降参=あきらめる」となります。「全面降伏」のようなニュアンスです。

【例文】
Never give up on your dreams.
日本語訳:決して自分の夢をあきらめるな。

2. show up(現れる、顔を出す)

イメージ:【出現】
それまで見えなかった場所から、ポンと(`up`)姿を見せる(`show`)イメージです。予期していなかった登場や、待ち合わせ場所に現れる、といった場面で使われます。

【例文】
He didn’t show up for our date.
日本語訳:彼はデートに現れなかった。

3. make up(仲直りする、作り話をする、化粧をする)

イメージ:【完成】
`make up` は「何かを完全に作り上げる」というイメージから、多様な意味に発展します。

  • 仲直りする:壊れた関係を、元通りに完全に(`up`)作り直す(`make`)。
  • 作り話をする:話(story)をゼロから完全に(`up`)作り上げる(`make`)。
  • 化粧をする:顔を完全に(`up`)作り上げる(`make`)。

【例文】
They quarreled last night, but they made up this morning.
日本語訳:彼らは昨夜喧嘩したが、今朝仲直りした。

4. look up(調べる)

イメージ:【出現・完成】
辞書やリスト、データベースの中から、目的の情報を探し出して(`look`)、目の前に出現させる(`up`)イメージです。

【例文】
If you don’t know the meaning, look it up in the dictionary.
日本語訳:もし意味が分からなければ、辞書でそれを調べてください。

5. clean up / eat up(きれいに片付ける/全部食べる)

イメージ:【完成・完全】
この場合の `up` は、「完全に〜しきる」という強調の役割を果たします。`clean`(きれいにする)を「徹底的に」行い、`eat`(食べる)を「残さず完全に」行うニュアンスです。

【例文】
Please clean up your room before you go out.
日本語訳:出かける前に、部屋をきれいに片付けてください。


他のパーティクルもイメージで攻略できる!

この「イメージ攻略法」は、他のパーティクルにも応用できます。例えば `off` はどうでしょう?

`off` のコアイメージ:【分離・中断】
何かが基盤から「離れる」、スイッチが「切れる」といったイメージです。

  • put off(延期する) → 予定をカレンダーから剥がして(`off`)別の日に置く(`put`)。
  • take off(離陸する、脱ぐ) → 飛行機が地面から離れる(`off`)。服が体から離れる(`off`)。
  • call off(中止する) → 予定をリストから呼び出して(`call`)消し去る(`off`)。

まとめ

今回は、丸暗記になりがちな「句動詞」を、パーティクルが持つ核となるイメージから理解する方法を解説しました。もちろん、全ての句動詞がこのイメージだけで説明できるわけではありませんが、この考え方を知っているだけで、学習効率は劇的に向上します。

知らない句動詞に出会ったときも、単語とパーティクルの意味から「どんなイメージかな?」と推測する癖をつけることで、語彙力は飛躍的に伸びていきます。まずは `up` の「完成・出現」、`off` の「分離・中断」のイメージをしっかり掴んで、句動詞の世界を楽しんでみましょう。

今日のポイント

  • ✅ 句動詞は「動詞+パーティクル(前置詞・副詞)」のセットで、元の動詞とは違う意味を持つことが多い。
  • ✅ パーティクルが持つ核となるイメージを理解することが、丸暗記からの脱却の鍵。
  • `up` には「完成・完全」「出現」のイメージがあり、`give up`, `show up`, `clean up` などに応用される。
  • `off` には「分離・中断」のイメージがあり、`put off`, `take off`, `call off` などに応用される。

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