
ネイティブはこう使い分ける!”take” のコアイメージと便利すぎるフレーズ15選
英語の基本動詞 “take” の使い方を「持っていく」や「取る」だけで覚えていませんか?実は “take” には、「自分の意思で、数ある選択肢の中から何かを選び、自分の領域に能動的に取り込む」という強力なコアイメージがあります。このネイティブ感覚を掴めば、なぜ “take a picture” と言うのか、なぜレストランで “I’ll take the steak.” と注文するのかが腑に落ち、応用力が飛躍的に向上します。この記事では、”take” の核心的なイメージを解き明かし、”get” との違いを明確にしながら、あなたの英語表現をより自然で豊かなものに変えるための具体的なフレーズと使い方を徹底解説します。

“take a picture” はなぜ “get a picture” ではないの?ネイティブ感覚の鍵はコアイメージ
「写真を撮る」を英語で表現するとき、私たちは当たり前のように “take a picture” というフレーズを使います。しかし、なぜ “get a picture” ではないのか、その理由を深く考えたことはあるでしょうか。日本語に訳すとどちらも「写真を手に入れる」という点で似ているため、この違いは些細なものに思えるかもしれません。しかし、ネイティブスピーカーの頭の中では、”take” と “get” は全く異なる感覚で使い分けられています。
その使い分けの鍵を握るのが、動詞の持つ「コアイメージ」です。コアイメージとは、単語の根底に流れる中心的な概念や感覚のことで、これを理解することこそが、単なる丸暗記を超えた、真に応用の効く言語能力を養うための最短ルートとなります。
結論から言うと、”take a picture” が自然なのは、写真撮影という行為が、目の前に広がる光景や一瞬を、撮影者の意思で能動的に「捕らえ」、自分の記録として取り込む行為だからです。これは、まさに “take” のコアイメージそのものを体現した、完璧な一例と言えるでしょう。
“take” のコアイメージは「自分の意思で、対象を支配下に入れる」感覚
能動的なアクション:積極的に自ら取り込む
“take” を単に「取る」と覚えるだけでは、その多様な使い方を理解することはできません。”take” の本当のコアイメージは、「主語が、自らの意思で、外界から対象(物や概念)を選択し、自身の領域(支配下や経験の範囲)に能動的に取り込む」という、主体的で力強い感覚にあります。
目の前に様々な種類のフルーツが並んだカゴを想像してみてください。”take” とは、そのカゴの中から「これだ」とリンゴを一つ選び、手を伸ばして自分の手元に引き寄せる、という一連の動作です。このイメージには、「選択」と「自分のものにする」という二つの重要な要素が含まれています。対象を自分の管理下に置く、というパワフルなアクションなのです。
選択のニュアンス:数ある中から「これ」と選ぶ
“take” が持つコアイメージの中でも特に重要なのが、この「選択」のニュアンスです。”take” は、複数の選択肢が存在する状況で頻繁に用いられます。
例えば、レストランでウェイターに注文を尋ねられた場面。「ステーキにします」と伝える際に “I’ll take the steak.” と言うのは、単にステーキを受け取るという意味だけではありません。これは、メニューに並んだ魚料理やパスタといった他の選択肢の中から、自らの意思でステーキを「選び取った」ことを明確に示す、非常に自然な表現なのです。
同様に、「タクシーに乗る」を “take a taxi” と表現するのも、バスや電車、徒歩といった他の移動手段の中から、意図的にタクシーという選択肢を選んだことを含んでいます。この「選択」の感覚こそが、他の動詞との決定的な違いを生み出すのです。
“get”との違いを徹底比較!能動的な”take” vs 受動的な”get”
“take” の輪郭をより鮮明にするために、しばしば混同される “get” との比較は欠かせません。”get” のコアイメージは「何かが主語の領域にやってくる、または主語がある状態に変化する」という感覚です。対象物が磁石に引き寄せられるように、主語の元へとやってくる動きをイメージすると分かりやすいでしょう。主語は動作の起点ではなく、あくまで終着点です。
この対比は、話者が自身をどう捉えているかを浮き彫りにします。”take” を使う話者は、自身を積極的に選択を行う「行為者」として位置づけています。一方で “get” を使う話者は、物事が自身に起こるのを経験する「経験者」としての立場を示唆します。
以下の表で、両者の違いを整理してみましょう。
観点 | take | get |
---|---|---|
主語の役割 | 能動的な行為者、選択者 | 受動的な受信者、経験者 |
コアアクション | 自分の意思で対象を選択し、自分の領域に取り込む | 対象が自分の元へ到達する、または状態が変化する |
重要なニュアンス | 選択、支配、意図 | 到達、受領、変化 |
動作の方向 | 自分 → 外 | 外 → 自分 |
例文 | I’ll take the steak. (ステーキを選び、自分の食事として取り込む) | I got a letter. (手紙が自分の元へ届いた) |
【状況別】この “take” 説明できますか?頻出便利フレーズ15選
コアイメージを理解すれば、具体的なフレーズがどのように派生しているのかを論理的に捉えることができます。これから紹介する15のフレーズは全て、「能動的に何かを自分の領域に取り込む」というコアイメージから説明が可能です。
①「時間・労力」を自分のものにする
- It takes time. (時間がかかる)あるタスクが、あなたから「時間」という資源を能動的に「必要とする(takeする)」と捉える表現です。タスクを完了させるために、自分の時間を提供しなければなりません。
【例文】
It takes time to learn a new language.新しい言語を学ぶには時間がかかります。
- I’ll take a break. (休憩を取る)流れていく時間の中から、意識的にその一部を「取り」、休憩という目的のために自分のものにする、という主体的な行為です。
【例文】
Let’s take a 10-minute break.10分間休憩しましょう。
②「交通手段」を選択して乗る
- I’ll take a taxi. (タクシーに乗る/使う)バスや電車など他の選択肢の中から、タクシーというサービスを自分の移動のために能動的に「選び取る」ことを意味します。
【例文】
I’m running late, so I’ll take a taxi.遅れているので、タクシーに乗ります。
- Take the JR Yamanote Line. (JR山手線に乗ってください)目的地へ至るための経路として、特定の路線を「選び取る」ように指示する表現です。
【例文】
To get to Shibuya, take the JR Yamanote Line.渋谷へ行くには、JR山手線に乗ってください。
③「薬・食事」を体内に取り込む
- Take this medicine. (この薬を飲んでください)外部の物体(薬)を能動的に「取り」、自分自身の体内に取り込むという、コアイメージの非常に文字通りの使い方です。
【例文】
Take this medicine three times a day after meals.この薬を毎食後、1日3回飲んでください。
- I’ll take the steak. ((レストランで)ステーキにします)メニューの中からステーキを選び、それを自分の食事として体内に取り込むという、「選択」と「取り込み」が融合した使い方です。
【例文】
For my main course, I’ll take the steak.メインは、ステーキにします。
④「責任・役割」を引き受ける
- I’ll take responsibility for it. (私がその責任を取ります)「責任」という抽象的な概念を、自らの意思で「引き受け」、自分の義務として取り込むことを宣言する表現です。
【例文】
As the team leader, I’ll take full responsibility for the failure.チームリーダーとして、私が失敗の全責任を負います。
- He took over the project. (彼がそのプロジェクトを引き継いだ)プロジェクトの管理権を他人から能動的に「引き継ぎ」、自身の責任領域に取り込んだことを示します。”take over” は支配権を握るニュアンスを力強く表現します。
【例文】
Jane is leaving, so Ken took over her project.ジェーンが辞めるので、ケンが彼女のプロジェクトを引き継いだ。
⑤ その他、覚えておくと超便利な “take”
- Take it easy. (気楽にね)困難なアプローチではなく、「気楽なやり方」を能動的に「取る」ように勧める表現。リラックスするという選択肢を選ぶニュアンスです。
【例文】
You’ve been working too hard. Take it easy this weekend.働きすぎだよ。この週末は気楽にね。
- Take care. (気をつけて)”take care of yourself” の短縮形。「注意」や「配慮」(care) を能動的に「引き受け」、自分自身に適用しなさい、という指示です。
【例文】
It was nice seeing you. Take care!会えてよかった。気をつけてね!
- Let’s take a look. (見てみましょう)「見る」という行為を、意識的に実行することを選択する表現。”Let’s look” よりも目的意識が強く、能動的な響きを持ちます。
【例文】
I’m not sure what’s wrong with the printer. Let’s take a look.プリンターのどこが悪いのか分かりません。見てみましょう。
- Take a chance. (思い切ってやってみる)目の前に現れた「チャンス」を、何もしなければ通り過ぎてしまうところを、能動的に「掴む」決断をすることを表します。
【例文】
I know you’re nervous, but you should take a chance and apply for the job.緊張するのはわかるけど、思い切ってその仕事に応募してみるべきだよ。
- Take notes. (メモを取る)話されている情報などを、その場から能動的に「取り」、自身の領域(ノート)に記録する行為です。
【例文】
Please take notes during the lecture.講義中はメモを取ってください。
- Take a seat. (お座りください)複数の椅子の中から、自分が使うものを一つ、能動的に「確保する」ように促す表現です。
【例文】
Welcome. Please come in and take a seat.ようこそ。どうぞ中に入ってお座りください。
- Take your time. (ごゆっくりどうぞ)必要なだけの「時間」という資源を、自分のペースで「使って」良いと許可を与える表現です。
【例文】
There’s no rush. Take your time to finish the test.急がなくていいですよ。自分のペースでテストを終えてください。
“take” を使って表現の幅を広げよう!より自然な英語へ
“use the train” や “choose the steak” から卒業しよう
コアイメージを理解すると、より自然でネイティブらしい表現への移行がスムーズになります。典型的な学習者の英語と、より自然な英語を比較してみましょう。
- シナリオ1:交通手段の選択
- 教科書的な英語: “I need to use the train to go to Shinjuku.”
- 自然な英語: “I need to take the train to Shinjuku.”
- 解説: “take the train/bus” は、交通機関を利用する際の圧倒的に一般的で自然な言い方です。”use” も文法的には正しいですが、どこか無機質な響きがあります。”take” は、個人的な目的のためにサービスを選択するというコアイメージに合致し、主体的な移動のニュアンスを伝えます。
- シナリオ2:レストランでの注文
- 教科書的な英語: “I will choose the steak.”
- 自然な英語: “I’ll take the steak.”
- 解説: “choose” も間違いではありませんが、レストランの場面では “take” が標準的です。より迅速で決断力があり、メニューから一品を選んで自分の食事にするというコアイメージと一致します。
理解度チェック!ネイティブ感覚クイズ
ここまでの内容がどれだけ身についたか、簡単なクイズで確認してみましょう。コアイメージに基づいた直感で答えることが重要です。
- 友人がケーキを一切れ勧めてくれました。それを受け取るには、”Thanks, I’ll ( take / get ) it.” のどちらが適切でしょうか?→ 答え: take (差し出されたものを、自らの意思で能動的に受け取り、自分のものにするため)
- 配達されるのを待っていた荷物がようやく届きました。家族に伝えるには、”The package I was waiting for finally ( took / got ) here!” のどちらが適切でしょうか?→ 答え: got (荷物があなたのいる場所に「到達した」状況であり、”get” のコアイメージに合致するため)
- 東京から京都へ移動する際、多くの人が新幹線に ( take / get ) 。→ 答え: take (交通手段を能動的に選択して利用するため、慣用的に “take” を使います)
まとめ:”take” の使い方をマスターして英会話を制する
この記事では、基本動詞 “take” が持つ「自分の意思で対象を選択し、支配下に置く」という能動的なコアイメージを深掘りしました。”get” が持つ「対象の到達や状態変化を経験する」という受動的なイメージとの違いを理解することで、多くの日本人がつまずきやすいポイントを克服できます。
この中心的な感覚を掴むことで、未知の表現に出会ったときでも、その意味を類推する力が身につきます。もう、膨大な用例リストを丸暗記する必要はありません。上達への近道は、日々の英語学習の中で「この場面では “take” が使えるかな?」と意識的に考えてみることです。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- “take” のコアイメージ: 自分の意思で、対象を選択し、自分の領域(支配下)に能動的に取り込むこと。
- “take” vs “get”: “take” は能動的な「行為者」の動詞、”get” は受動的な「経験者」の動詞。
- 「選択」のニュアンス: レストランでの注文 (“I’ll take the steak.”) や交通手段 (“take a taxi”) など、複数の選択肢から選ぶ場面で “take” は頻繁に使われる。
- 応用範囲の広さ: 時間、薬、責任、休憩など、物理的なモノだけでなく抽象的な概念も “take” の対象となる。
- 自然な英語への鍵: “use” や “choose” の代わりに “take” を使うことで、よりネイティブらしい自然な表現になる場面が多い。
この小さな問いかけの積み重ねが、この強力な基本動詞を真に自分のものにするための、最も確実な一歩となるでしょう。