苦手意識を持つ人が多い、英語の長文リーディング。
知らない単語を調べているうちに内容が分からなくなったり、時間がかかりすぎて挫折してしまったりした経験を持つ人も少なくありませんよね。
今回は、英語初心者向けにおすすめの勉強法、参考書などをご紹介します。
初心者向け、段階的な長文読解の方法
ここからは、英語学習の初心者向けに、長文の読解力が無理なく身につく勉強法をご紹介します。
まずは短い文章の「精読」から始めてみよう
長文リーディングの勉強を始めるとき、いきなり長い文章からスタートするのはあまりおすすめできません。
まずは短めの文章を精読することを心がけましょう。
「精読」とは、文の構造を含め、書かれている内容をしっかり把握する読み方のこと。時間はかかりますが、読解の基本となる文法を理解でき、語彙力の向上にも効果があります。
スラッシュを入れながら読むスラッシュリーディングは、シンプルで読みやすい短い文章を自分で作り出していき、精読しながら長文の英文解釈を可能にする読解方法です。
例文
ジョンはアナと3か月間交際しているが、まだ彼女の出身地を知らない
例えば上記の文章をスラッシュリーディングする際は、以下のようにスラッシュを入れていきます。
スラッシュを入れると…
ジョンはアナと交際している。3か月間。でも彼は知らない。彼女がどこ出身なのかを。
スラッシュを入れる場所は必ずここでなければいけないとうことはなく、その人が分かりやすいように入れていくもの。そのため、多少の個人差もありますが、基本的には前置詞・副詞・接続詞・関係詞などでスラッシュを入れて文を区切ります。語順のままで理解を進めるため、英文を読むスピードも格段に上がります。
この語順のまま理解する方法は、実はリスニングでこそ生きる技術なので、リスニング力の向上も期待できるでしょう。
慣れたらパラグラフリーディング
英文解釈の力を上げるもう一つの読解方法として、段落ごとに区切り、その要点をつかみながら読むパラグラフリーディングがありますが、推測を前提としている方法なので、前述したスラッシュリーディングなどで精読力をしっかりと身につけてから取り入れることをオススメします。
興味のあるテーマの文章で読もう
自分が興味のあるテーマの文章を読むことが、長文リーディングの学習を長続きさせるポイント。小説なら、段落単位で区切って1段落ずつ精読していきましょう。英語が苦手な人や超初心者の場合は、文字数の少ない英語の絵本から始めるのもおすすめです。
精読に慣れたら「多読」に挑戦
短めの文章に慣れてきたら、小説やニュースサイトの新聞記事、児童書など、興味のある英文を、ジャンル問わずたくさん読んでいきましょう。
いろいろなテーマの文章を読むことで、子どもにも理解できるやさしい英語表現から、ビジネスでも使われる格式の高い英語表現まで、さまざまなテイストの文章に触れられます。
長文読解力を高める読み方のコツ
英語の長文を読むとき、ちょっとしたコツを知っていると内容を読み解きやすくなります。ポイントをいくつかご紹介しましょう。
文章をイメージしながら読む
長文をスピーディに読むためには、一文一文を和訳するのではなく、英文のまま読み進めていくことが大切です。
特にストーリー調の文章を読む際は、頭の中で映像化することで、全体の文脈もイメージしやすくなります。読解力が上がってくると、だいたい次にどんな文章が来るかも予想できるようになるでしょう。これは単語も覚える際も同様で、イメージすることで記憶の定着も良くなります。
単語推測力をつけよう
知らない単語が出てくるたびに辞書をひいていると、リーディングスピードが低下してしまいます。
辞書を引く前に、前後の文脈から単語の意味を推測する習慣をつけましょう。
この単語推測力は、長文を読む上での必須スキルです。
なお、重要なキーワード以外は、意味が分からなくても読解に支障がない場合もあるので、飛ばして読んでも構いません。
分からない単語にはチェックを入れておき、読み終わってから辞書をひくのがおすすめです。
ニュースを読む場合、記事の基本構成を知っておく
海外のニュースサイトに掲載されている記事の構造は、とてもシンプルです。
記事のタイトルにはテーマが、導入文には内容の要約が書かれているので、ざっくりと記事の方向性を把握できます。
本文はいわゆる「5W1H」で構成されています。
When | いつ |
---|---|
Where | どこで |
Who | 誰が |
What | 何を |
Why | なぜ |
How | どのように |
こうした基本構成を知っていれば、どこに大切なことが書かれているのかが分かり、効率的に読み進めることができます。
文脈の重要そうな文をチェック
長文の中でも特に大切な文章を見分けるには、「ディスコースマーカー」が有効です。「ディスコースマーカー」とは、副詞や接続詞のように、文章の流れをあらわす目印になるもの。特にHoweverやOn the other handといった逆説のディスコースマーカーでは、筆者の主張が述べられることが多いので、後で分からなくなった時にすぐに読み返すことができます。
読み終える期限を決めておく
読み始める前、「15分くらいで読み終えよう」などのように、目標を立ててスタートしましょう。
自分なりの期限を設定することで速読にもつながり、大学受験など限られた時間内で英文を読む練習にもなります。
目標時間内に読み終えられなかったら、途中でやめても構いません。
慣れてくると「これくらいの文字数なら5分くらいで読めるな」と、ある程度予想できるようになります。
復習は必ずする
一通り文章を読み終わったら、解答を見る前に自分で辞書を使って和訳してみましょう。その際に知らなかった単語をチェックしておけば、語彙力アップにもつながります。その後、解答と自分の解釈との違いを確認し、なぜその違いが生まれてしまったのかを考察してください。
せっかく頑張って読んだ文章も、そのままでは英語力はなかなか伸びません。必ず復習を徹底し、自分の弱点を克服していきましょう。
初心者向け長文読解のおすすめサイトや参考図書
ここからは、英語の長文読解力を身につけるための読み方ができる、初心者におすすめしたいサイトや、参考図書をご紹介します。
ニュースサイト
やさしい英語ニュースClub
ニュース内に出てくる重要語句の解説や、読解のポイントが掲載されており、初心者にも無理なく読める工夫がされています。さまざまなカテゴリーの記事が用意され、興味のある記事を探すのにもぴったりです。
The Japan Times
英字新聞社の英語学習用サイトです。「辞書なしで読むやさしいニュース」には、英文の隣に重要語句の和訳が添えられているため、文字通り辞書なしで読み進められます。
Time For Kids
アメリカ「TIME」誌が、英語圏の子ども向けに運営しているニュースサイトです。平易な表現が多く読みやすいのが特徴。難しい単語には色がつけられ、クリックすると単語の意味が英語で解説されます。
小説・絵本
The Little Prince
「星の王子さま」の邦題で知られる名作。児童文学ですが、世界中の大人たちから愛されています。
Holes (Holes Series)
ミステリー要素が強く、読み始めると止まらないと評判の洋書。英語圏の児童文学なので、登場する単語は平易なものが多いです。
The Polar Express: Mini Edition
クリスマスをテーマにした絵本です。『急行 北極号』のタイトルで和訳もされているので、読み比べてみるのもよいでしょう。
問題集
イチから鍛える英語長文Basic (CD&別冊「トレーニングブック」つき (大学受験TERIOS))
Basic・300・500・700と4段階に分かれており、自分に合った難易度から始められ、徐々にレベルを上げていけるのが魅力です。音声CDが付属として付いています。
英語長文レベル別問題集
1から6に細かくレベル分けされているので、「イチから」シリーズよりも自分のレベルに合ったものを見つけやすいかもしれませんね。こちらにもシャドーイングに使える音声CDが付いてくるので、長文読解力だけに留まらない、総合的な英語力の向上を見込めるオススメの参考書です。
英語の長文リーディングは興味のある文から始めよう
英語で書かれた長文の読解力を高めるには、精読と多読を繰り返し、より多くの文章に触れることがポイントです。
最初から難しい長文を読もうとするのではなく、英語の小説や絵本、雑誌など、自分が興味のあるテーマを取り上げた短めの文章から始めましょう。
徐々に長い文章にステップアップしていけば、長文の構造や文脈の理解に慣れ、苦手意識を解消できますよ。