
【another, other, the other(s)の違い】「もう一つ」と「残り」を英語で正しく使い分ける!
クッキーの箱が目の前にあります。「もう一ついかが?」と聞かれてもう一枚食べるとき、それは `another` cookie でしょうか? それとも `other` cookie でしょうか?
では、お皿にクッキーが2枚だけ残っていて、そのうちの「もう片方」を指すときはどうでしょう?

このように、`other` に関連する英語表現(`another`, `the other`, `the others`など)は、`a/an` や `the` が付くか、複数形になるかで意味が大きく変わるため、多くの英語学習者が混乱するポイントです。しかし、この使い分けはたった2つのシンプルな質問を自分に問いかけるだけで、驚くほどクリアに理解できます。
この記事では、そんな紛らわしい `other` ファミリーの単語を、ネイティブが持つ感覚で正しく使い分けるための、論理的なルールを解説していきます。
結論:使い分けは「特定?」と「単数?」の2ステップで決まる
これらの単語を使い分ける鍵は、以下の2つの質問を順番に考えることです。
- 特定か、不特定か?(聞き手が「どれのことか」正確にわかるか?)→ わかるなら `the` がつく。
- 単数か、複数か?(指しているものは一つか、二つ以上か?)
この2つの質問で、4つの表現はこのように整理できます。
- another → 不特定の単数(an + other = もう一つの)
- other (+複数名詞) → 不特定の複数(その他の)
- the other → 特定の単数(残りの一つの)
- the others → 特定の複数(残りのすべて)
このチャートを頭の片隅に置きながら、それぞれの具体的な使い方を見ていきましょう。
another (an + other):「不特定の、もう一つ」
another は、もともと `an` + `other` が一つの単語になったもので、「不特定(どれでもいい)の、もう一つ」を意味します。他に選択肢がたくさんある中で、「追加でもう一つ」というニュアンスです。
【例文】
This coffee is great. I’ll have another cup.
日本語訳:このコーヒーは美味しいね。もう一杯もらおうかな。(訳注:他にもたくさんあるコーヒーの中の、どれでもいいから「もう一杯」)
【例文】
I don’t like this design. Could you show me another?
日本語訳:このデザインは好きではありません。別のものを見せてもらえますか?
other:「不特定の、その他のいくつか」
other は、主に複数名詞の前で使われ、「(不特定の)その他の〜」という意味になります。あるグループについて言及した後で、「それ以外の不特定多数」を指すときによく使われます。
【例文】
Some people like cats, and other people like dogs.
日本語訳:猫が好きな人もいれば、犬が好きな人もいます。(訳注:「猫好きな人」以外の「不特定のその他の人々」)
【例文】
Do you have this shirt in any other colors?
日本語訳:このシャツの、他の色はありますか?
the other:「特定の、残りの一つ」
the other は、「残りの、特定の一つ」を指します。`the` が付いているので、話し手と聞き手の間で「どれのことか」が明確に分かっているのがポイントです。特に、2つのうちの片方を指すときに非常によく使われます。
【例文】
I have two cats. One is black, and the other is white.
日本語訳:私は猫を2匹飼っています。1匹は黒で、もう1匹は白です。(訳注:2匹のうち、1匹目ではない「残りの特定の一匹」)
【例文】
He was holding a racket in one hand and a ball in the other.
日本語訳:彼は片方の手にラケットを、もう片方の手にボールを持っていた。
the others:「特定の、残りのすべて」
the others は、「残りの、特定のすべて(複数)」を指します。`the other` の複数形バージョンです。3つ以上のグループから、一部を除いた「残り全員」「残り全部」というニュアンスです。
【例文】
There are ten students in this class. Two are from Japan, and the others are from America.
日本語訳:このクラスには10人の生徒がいます。2人は日本出身で、残りの生徒はアメリカ出身です。(訳注:10人から2人を除いた「残りの特定の8人全員」)
【例文】
I’ll take this one. You can have the others.
日本語訳:私はこれを取るよ。残りは君がもらっていいよ。
【一覧表】`other` ファミリーの使い分けマップ
これまでの内容を、使い分けの判断マップとして表にまとめました。
表現 | 特定? | 単数/複数? | 意味合い |
---|---|---|---|
another | 不特定 | 単数 | 追加のもう一つ |
other (+ 複数名詞) | 不特定 | 複数 | その他のいくつか |
the other | 特定 | 単数 | 残りの一つ |
the others | 特定 | 複数 | 残りのすべて |
まとめ
今回は、紛らわしい `other` ファミリーの単語の使い分けについて解説しました。一見複雑に見えますが、「特定か、不特定か」「単数か、複数か」という2つの軸で考えれば、機械的に正しい表現を選ぶことができます。
これらの表現を使いこなせると、数や範囲を非常に正確に相手に伝えることができるようになります。会話や文章の中で「別のもの」や「残り物」について言及する際には、ぜひこの2つの質問を自分に問いかけてみてください。
今日のポイント
- ✅ 使い分けは「特定か(聞き手がわかるか)」と「単数か複数か」で決まる。
- ✅ 不特定で「もう一つ」なら → another
- ✅ 不特定で「その他のいくつか」なら → other + 複数名詞
- ✅ 特定で「残りの一つ」(特に2つのうちの片方)なら → the other
- ✅ 特定で「残りのすべて」(3つ以上の場合)なら → the others