日本語では、さまざまなシーンで「よろしくお願いします」という言葉を口にします。英語では同様の意味を持つ決まり文句はありませんが、挨拶や依頼、会話の締めくくりなど、状況に合わせて近いニュアンスを出すことができます。使うシーンを想定しながら、「よろしくお願いします」の持つ意味を考えてみましょう。
この記事では、「よろしくお願いします」を意味する、さまざまな英語表現をご紹介します。
目次
日本語の「よろしくお願いします」という表現
「よろしくお願いします」は、英語でどのように伝えるのでしょうか。「よろしくお願いします」が持つ意味を考えながら見ていきましょう。
「よろしくお願いします」にあたる英語表現は場面に応じて多数ある
英語では、日本語の「よろしくお願いします」にぴたりと当てはまる表現は存在しません。そのため、まずは便利な決め台詞という認識は捨て、定型表現では対応できないことを押さえましょう。
「よろしくお願いします」と頭に浮かんだら、状況やニュアンスに応じて異なる表現を使います。一歩踏み込み、相手に何をお願いしたいのかを考えることが必要です。
「よろしくお願いします」を伝えるコツ
シチュエーションに合わせて「よろしくお願いします」の英語表現を使い分けるには、日本語の「よろしくお願いします」に込められた意味を理解することが大切です。英語で適切に表現するために、まずは「よろしくお願いします」を別の日本語で言い換えてみましょう。
【例】「今後ともよろしくお願いいたします」
相手と別れるときやメールの締めくくりなどによく使われるフレーズです。省略されている言葉や含まれている気持ちを考えましょう。
この場合の「よろしくお願いします」は、「今後も良好な関係を築いていけるように願っております」という意味合いになります。
【例】「明日のミーティングでは、よろしくお願いいたします」
この場合は、「明日のミーティングでは、忌憚のないご意見をお待ちしております」、あるいは「明日のミーティングでお話できるのを楽しみにしております」などの意味と考えられます。
つまり、「よろしくお願いします」に込められる思いの多くは、感謝や期待、要望を表すと言えるでしょう。この点を意識すると、英文を組み立てやすくなります。
それでは、「よろしくお願いします」の具体的な英語表現を見ていきましょう。
社内で使う「よろしくお願いします」
入社時や異動時などの挨拶、申し出を受けるとき、お願いするときなど、社内では多様な「よろしくお願いします」が使われています。シーン別に適した英語表現をご紹介します。
初対面・挨拶のとき
自己紹介で「よろしくお願いします」と伝えるとき、どのようなメッセージを込めたいですか?「頑張ります」「ご指導をお願いします」「みなさんと一緒に仕事ができて光栄です」など、それぞれのシーンに応じて伝えたい思いを英語に変換しましょう。
「はじめまして」「会えてうれしい」
例文
はじめまして
Great to see you.
お会いできてうれしいです
Pleased to meet you.
お会いできてうれしいです
It's a pleasure to meet you.
お会いできてうれしいです
これらは初めて会う人に使うフレーズ。「あなたに会えて嬉しいです」という意味のため、日本語の「よろしくお願いします」と同様のニュアンスとして使うことができます。日常的なシーンはもちろん、ビジネスシーンでもこうした基本の英会話が用いられます。
例文
お会いするのを楽しみにしていました
一方この表現は、既にメールなどのやり取りをしていて相手を知っていた時に用いられます。初対面の人にはあまり使いませんので、場面別に使い分けるようにしましょう。
「今後ともよろしくお願いします」
例文
一緒に働けるのを楽しみにしています
I can't wait working with you.
一緒に働けるのが楽しみです
「今後ともよろしくお願いします」というニュアンスを伝えるには、このように「楽しみにしている」という旨を伝えるのがシンプルです。他にも以下のような例文で「今後もよろしくお付き合いください」の意を伝えることができます。
例文
また次回に
Let's keep in touch.
連絡を取り続けましょう
Thank you for your continued support.
絶え間ないご支援ありがとうございます。
I'll do my best.
全力を尽くします
Ask me anything anytime.
いつでも何でも聞いてください
相手にお願いするとき
「DM(ダイレクトメール)の送付、よろしくお願いします」など、相手にお願いするときに使う「よろしくお願いします」の場合には、押しつけがましくない表現を選びましょう。「Please」は「Can you」や「Could you」などと組み合わせれば便利な表現ですが、Please単体で使ってしまうと強要するイメージを伴います。次のような疑問文であれば、Pleaseを使わずにお願いをすることができますので、覚えておくのがおすすめです。
例文
お願いがあるのですが
May I ask you something?
頼みごとをしてもいいですか?
Would you mind sending this?
これを送ってもらってもいいですか?
Thank you for taking care of it.
お願い事を聞いてくれてありがとう.
そのほか、「相手が応じてくれるかわからないけれど、できれば依頼に応えてほしい」という意味を込めたいときは「Any help would be appreciated. (とにかく何でも、ありがたいです)」も重宝します。
相手の善意に甘えるとき
相手の申し出に対し、「よろしくお願いします」とお礼の気持ちを込めたいときは、「Thank you.」が適しています。少し丁寧にしたいときは、「I appreciate you.(あなたに感謝しています)」を使いましょう。
手伝いましょうか


ありがとう
コピーを取りましょうか


あ、お願いします
Thank you.
ありがとう
大丈夫。手配しておきますよ


本当にありがとうございます
上司にサポートを依頼するとき
上司に、今後の指導やサポートをお願いする意味合いで「よろしくお願いします」と伝えるときも、気持ちを素直に伝えましょう。英語には、「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」といった、かしこまった定型表現はありません。
上司への挨拶には「よろしく」という直接的な表現ではなく、以下のような例分を使うと便利です。
例文
ご支援に感謝します
I'll see you around.
またお会いしましょう
It was nice meeting you.
お会いできて光栄です
部下に指示するとき
部下に指示を出すときは、特に「よろしくお願いします」と添える必要はありません。「Thank you」を使い、「よろしく」という意味合いを示せます。資料の修正、データの抽出を依頼するときは「I want you to revise this document, thank you.(この資料の修正頼むよ、ありがとう)」と表現します。
また、「頼むね!」と上司が軽く部下に頼むときは、「I’m counting on you.(頼りにしているよ)」が便利です。
そのほか、次のような表現を使えます。
例文
6時までに、いくつか頼むね
I need this to be done today, can you?
これ今日中に、できるよね?
Fix this before the meeting. I really appreciate that.
会議までに直して。恩に着るよ
取引先に伝える「よろしくお願いします」
取引先に対しても、発想の仕方は変わりません。取引先に「よろしくお願いします」と伝えるシーンを想定し、使いやすいフレーズを見ていきましょう。
相手に意気込みを伝えるとき
取引先に「今後ともよろしくお願いします」と伝える際、社内の場合と同様に、具体的に相手に伝えたいことを表現しましょう。例えば、打ち合わせ後に、「今後ともよろしくお願いいたします」と伝えるなら、「I look forward to working with you.(みなさんとの仕事が楽しみです)」と、笑顔で伝えましょう。
例文
みなさんとの仕事が楽しみです
Thank you for your constant support.
いつもサポートをありがとうございます
I won't let you down.
みなさんのご期待に答えるつもりで頑張ります
メールの結びに伝える表現
メールの結びに入れる「よろしくお願いします」は、「Most sincerely」「Best regards」などです。これらは決まった表現のため、毎回同じもので構いません。
決まり文句は、改行した後、左端から書き始め、コンマを添えます。そして、一行空けて名前を書きます。
例文
Scott Brown
Sincerely,
Veronica Chen
Regards,
Michelle Smith
プライベートで使う「よろしくお願いします」
プライベートでも、知人や友達に対し「これからもよろしくお願いします」と伝える場面が頻繁に訪れます。また会いたい気持ちを伝える表現を見ていきましょう。
「これからもよろしくね」と伝えるとき
親しい人に「これからもよろしくね」と英語で伝えるときには、関係を続けたい気持ちを伝えることが大切です。「連絡を取り合おう」という意味の「Keep in touch.」や、別れを惜しむ「I’ll miss you.」もシチュエーションに合った表現です。
例文
また、そのうち会おうね
Talk to you soon.
また、近いうちに話そうね
Let's have fun.
一緒に楽しい時を過ごそうね
不在の相手に「よろしくお伝えください」と伝えるとき
「よろしく」と挨拶したい相手が不在で、その場にいる人に「~さんによろしくお伝えください」と伝言をお願いしたいときは、「Please say hello to ~ for me. (私のために、~さんに挨拶をしておいてね)」を使うのが一般的です。そのほか、次のような表現が可能です。
例文
(○○さんにぜひともお会いしたかった、とお伝えください
※一つ目の○○は名前、二つ目の~は代名詞にしましょう。
Tell ○○ I'm doing fine.
(○○さんに、私はうまくやっています、とお伝えください
Please send my best regards to ○○.
(○○さんにくれぐれもよろしくお伝えください
「よろしくお願いします」の表現をストックして活用!
日本人は「よろしくお願いします」をさまざまなシーンで多用します。英語で話しているときに、つい「よろしくお願いします」が思い浮かんだら、何を伝えたいかを考え、英語に転換しましょう。慣れないうちは、挨拶、感謝、依頼の表現など、状況別に整理し、ストックしておくと良いでしょう。そうして実際に活用し続けることで、「よろしくお願いします」の気持ちを英語で自然と伝えられるようになっていきます。