英語を初めて本格的に勉強していこうという場合には、「TOEIC600点」は最初の目標として最適なレベルです。「TOEIC600点」は英検で言うと2級にあたると言われており、就職の際においても有効な水準とされています。
目次
600点の難易度
まず最初に、TOEIC600点がどのくらいのレベルなのかを知っておく必要があるでしょう。
TOEIC600点は英検ならば2級程度と言われており、高校卒業程度のレベルです。TOEIC600点以上は受験者の約半数程度を占めており、実際のスコア分布は、大きく分けて以下のようになっています。
TOEICスコア | 分布 |
---|---|
895~ | 3.60% |
795~ | 9.70% |
695~ | 14.90% |
595~ | 19.00% |
495~ | 19.90% |
600点の評価
受験者の平均スコアは581.5(2019年7月実施)
実際のレベルとしては、TOEIC600点は学生の平均スコアよりも少し上だと言うことができるでしょう。
【TOEIC600は…】
- 就活で英語力がアピールできる最低ライン
- 英語を使わない部署なら、転職で有利になる場合がある(大手や海外事業部書などでは、ほぼアピールにならない)
また、TOEICなどのテストプログラムを開発しているETSによれば、「日常、簡単な範囲であれば業務上のコミュニケーションが取れる」という評価に該当します。
実際は、ビジネスの場では話せないというケースも多いですが、英語学習の最初の土台として600点を目標に設定するのは、非常に一般的です。
TOEIC600点に達するために必要な勉強時間
では具体的にどれくらい勉強すれば600点に到達することができるのでしょうか?もちろん個人差はありますが、現在のTOEICスコアと、TOEIC600点到達までの勉強時間の目安は以下のように言われています。
現状のTOEICスコア | 必要な勉強時間 | 1日2時間勉強すると・・・ |
---|---|---|
400点 | 450時間 | 約7か月 |
500点 | 250時間 | 約4か月 |
ただし、これは毎日勉強を継続した場合ですので、英語の勉強を習慣づけることが非常に大切です。
TOEICの出題構成
まずはTOEICの問題形式を理解しておきましょう。
テスト問題はリスニングセクション100問とリーディングセクション100問の合計200問で構成されています。
テストを解いていく上では、一貫してスピード感が求められます。
リスニングセクションの問題内容
約45分間で100問の問題を解きます。音声のスピードは速く、一度しか流れてきません。また、問題用紙にメモを取ることは禁止されています。
Part1 | 写真を見ながら正しい説明文を選ぶ(6問) 短い英語の説明文を4つ聞き、問題用紙にプリントされた写真にふさわしいものを選ぶ形式。 |
---|---|
Part2 | 質問文または文章に対してふさわしい答えを3つの中から選ぶ(25問) 流れてきた質問や文章に最も適切な答えを、聞こえてくる3つの選択肢の中から選ぶ形式。 |
Part3 | 2~3人の会話を聞いて、問題用紙の設問に答える(39問) 少し長めの会話文を聞き、問題用紙にプリントされた設問にふさわしい選択肢を選ぶ形式。 |
Part4 | 一度だけ流れるミニトークを聞いて、問題用紙の設問に答える(30問) 公共施設でのアナウンスやラジオ放送など、一度だけ流れる音声の内容を理解して解答する形式。 |
リーディングセクションの問題内容
リーディングセクションでは、75分間で100問の問題を解きます。600点を目指すなら、全問解くことを目指すよりも、自分の得意な分野を極めて伸ばしていくと良いでしょう。
Part5 | 不完全な短文を完成させるために、適当な答えを選ぶ(30問) 英単語力や英文法力が必要とされるパート。語彙問題が大半を占める。 |
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Part6 | 不完全な長文を完成させるために適当な答えを選ぶ(16問) 長文内の空所補充問題。単語だけを補充するものから、文章を丸々補充するものまで設問もさまざま。 |
Part7 | 記載された文書の内容に関する設問に答える(全54問) 1つの文書(シングルパッセージ)、2つの文書(ダブルパッセージ)、3つの文書(トリプルパッセージ)に基づいて設問に回答する形式。 |
勉強方法
600点獲得に必要とされるのは英語の基礎力なので、難しい参考書は必要ありませんが、英語の構造を理解し、日常会話の文章を組み立てられるレベルに達するためには、少なくとも中高の文法基礎レベルを習得しなければなりません。
まずは中・高の基礎的な英文法をマスター
中学校レベルの英文法は確実に、そして高校レベルの基礎を理解できるようにしましょう。
基本問題を瞬間的に解答できるレベルまで仕上げることができるように、問題集の解説を良く読み理解できるまで何度も繰り返すことをおすすめします。そのためには「少しの理論とたくさんの練習」が基本となるので、まずは中学・高校初級レベルの文法をマスターしてください。
また、文法を学ぶだけではなく、精読も勉強に取り入れてみましょう。文の構成や単語の意味を理解することで、英文の意味を理解するトレーニングとしても活用することができます。
オススメの教材
【新形式問題対応】 TOEIC(R) TEST 英文法 出るとこだけ!
TOEICをスコアアップさせるための「鉄則」が33個も掲載されており、スピーディに問題を解く演習を繰り返し実践することができます。
実際に初心者からTOEIC800点台をとったというレビューも見られ、初心者がTOEICでの高得点を目指すには非常に効果的です。kindle版もあるので、スマホなどにダウンロードして勉強するのも良いでしょう。)
TOEIC頻出単語を覚える
TOEICで600点を取るのに必要な語彙数は5,000程度と言われています。
単語は「日本語の訳が言える」だけではなく「使える」ようにならなければなりません。その単語を会話やライティングで使いこなせるのが理想ですが、TOEIC対策としてはその単語を含む例文・文章を「読め」て、その上で「聞ける」ことを目指すのが現実的です。
また、複数の単語帳を使う方も少なくないですが、一冊の単語帳を繰り返し使うことをおすすめします。1冊の単語帳を完璧にマスターするつもりで、何度も何度も繰り返し学習しましょう。
オススメの教材
TOEICに再頻出の英単語と英熟語をまとめてくれているので、最速でTOEIC専用の語彙力を築くことができます。
例文にはすでに学習済みの単語も頻繁に用いられるので、新しい単語を覚えると同時に前の単語の復習をすることも可能です。初心者でも継続しやすい一冊ですので、苦手意識がある方にも効果的だと言えるでしょう。
リスニングのスピードに慣れる
TOEICの問題文を読み上げるスピードは、600点を目指す人にとってはかなり速く感じられます。
しかし丁寧ではっきりした発音なので、練習によって攻略しやすい音声だと言えます。
何と言っても繰り返し同じ英文を聞くのがリスニング対策の基本です。はっきりと聞き取れる英語を少しずつ増やしていきましょう。
また、リスニングでは英語を日本語に訳していては間に合いません。耳に入ってきた英語を「頭から順に」、情報・意味のかたまりごとに理解する必要があります。
これが苦手だという方はまず「スラッシュリーディング」から始めてください。
これは英文を文法的・意味的なまとまりで区切って、区切りごとに読解していく方法です。どう区切るべきかを考えることで文法力・読解力の訓練にもなります。
毎日英語を聞いて慣れることも非常に大切です。間が空いてしまうと「英語耳」はなかなか育ちにくいので、少しずつで良いので毎日聞くことを意識してみてください。テクニックとしては、パート3、4の問題を先読みし、心の準備をしておくこともおすすめです。
オススメの教材
TOEIC(R)テスト新形式精選模試リスニング2(CD-ROM1枚+MP3音声無料DLつき)
リスニングを集中的に伸ばしたいという方は、『TOEIC(R)テスト新形式精選模試リスニング2(CD-ROM1枚+MP3音声無料DLつき)』がおすすめです。TOEICで出題が予想される設問について、正解を導くための方法が細かく明記されているので、じっくりと読めば迷うこともなくなるでしょう。特に初心者がつまづきがちな図表問題なども、この本一冊で得意分野に早変わりさせることができます。
試験対策のポイント
リスニング
平均スコアが高いことからも、リーディングセクションより点数を取りやすいことがわかります。過去問やTOEIC対策用のCDを繰り返し聞き、ネイティブの発する内容文や質問を瞬時に理解できるようにトレーニングをしましょう。また、形式に慣れるようにテストが近くなったら公式問題集で練習しておくことも大切です。
Part 1
写真を隅々まで観察する必要があります。「coffee」と「copy」のように、似た発音の単語を用いたひっかけ問題が出題されることもあるので、細かい音の違いを聞き取れるように日頃から意識しましょう。
Part 2
設問も選択肢も印刷されていないため、先読みによって問題内容を予測し、備えることはできません。オフィスなのかエレベーターの中なのか、といった場面設定を想像しながら状況を聞き取る練習をしましょう。
Part 3
誰が誰に何を話しているのか、状況を想像しながら聞き進める必要があります。特に3人での会話では、声の聞き分けに注意しましょう。設問を確認してから読むと、主題を想像しやすくなり、効率よく解くことができます。
Part 4
ミニトークは印刷されていないので、耳にした内容を覚えておく必要があります。そのため、印刷されている設問と選択肢を先読みし、どこを重点的に聞くべきか備えておくことが大切です。
リーディング
確実に点数を取るためには、リスニングセクション以上にリーディングセクションでの戦略が重要となります。長文を少し読み、直感的に苦手な分野と感じた場合、その問題すべてを飛ばしてしまうのも一つの手です。時間内に解くべき問題をすべて解けるよう、配分を意識しましょう。
Part 5
英単語は英検準2級レベル、もしくは中学校上級レベルのものを覚えておく必要があります。中学校で習う英文法と仮定法の基本事項を十分に理解していれば、解けるでしょう。
Part 6
空所補充の選択肢は単語や文章ですが、空所の前後を一部読んだだけでは、正解するのは難しいでしょう。長文を最初から読み進めて一つずつ空所を埋めていく必要があり、全体の理解度も問われます。
Part 7
難易度は高く、数カ所に分散した要点を見つけて総合的に判断する読解力が必要です。解けない問題に時間をかけることなく、解ける問題を確実に解いていくことを心がけましょう。
600点は英語の土台。実践的スキルも磨いていこう!
TOEICの600点は、ビジネスパーソンの基本的な英語力を問うボーダーラインとして設定されやすい点数です。中学英語レベルの語彙力や文法を確実に身に付け、出題形式をつかんで臨めばクリアできるでしょう。
テストに臨む際は、リーディングセクションをどのように解いていくか、自分なりの作戦を立てて、確実に正解する設問と解かずに飛ばしてしまう設問を見極めることも大切です。
無事に600点を取得することができれば、その後の英語の可能性も大きく広がります。TOEICは英語力を測る指標の一つですので、必要以上にスコアに囚われすぎることなく、実際に話せるスキルも磨いていきましょう!